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(朝鮮日報日本語版) 【社説】北朝鮮の核廃棄、「ツボ」を押さえた対話を

朝鮮日報日本語版 5/18(木) 9:57配信

 国連駐在のヘイリー米国大使は16日「北朝鮮が核とミサイル開発のための実験を全面的に中断すれば、北朝鮮と対話する用意がある」と発言した。米国のトランプ政権はこれまで北朝鮮との対話について「金正恩(キム・ジョンウン)政権が非核化の意思を明確にすること」を前提条件としてきたため、今回のヘイリー大使の発言はいわばその条件を引き下げたことになる。すると韓国大統領府のある幹部が「北朝鮮が核実験を中断し、ミサイル発射を取りやめれば、対話の雰囲気はこれまで以上に高まるかもしれない」と述べ、米国の動きを歓迎する意向を示した。これら一連の動きから「韓米両国が北朝鮮との対話の条件に合意したのでは」といった見方も一部で出始めている。

 北朝鮮による度重なる挑発を阻止するため、韓米両国の新政府が対話の条件を下げる必要があるとの判断に至ったことは十分考えられる。まず北朝鮮を対話の場に引き出すためには、これ以外の方法がないという現実がその理由になったとの見方もある。しかし1990年代の第1次核危機以降、北朝鮮が20年以上にわたり続けてきた戦略に「またもだまされるのでは」という懸念も一方では非常に根強い。

 北朝鮮はこれまで核とミサイルを使った挑発によって緊張を高め、その後は実験の中断を条件に重油、米、肥料などを手にしてきた。また会談に応じるそぶりを見せたかと思えば、決定的な局面に至ると一方的に交渉を決裂させた。非核化の推進に向けた合意文作成には応じても、その検証には絶対に応じなかった。国際社会が北朝鮮によるこれら一連の行動に欺かれる間に、北朝鮮は地道に核開発を続け今や数十個の核弾頭を製造できるようになり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)もその保有の一歩手前にまで至っている。

 ただそれでも北朝鮮との交渉は避けられない。北朝鮮の核を廃棄できる方法として考えられるのは交渉以外にないからだ。そのため北朝鮮はこの明確な事実を大きな強みとして活用している。核とミサイル開発に向けてまい進しても、最後は韓国と米国が対話を呼び掛けるしかない現実をしっかりと把握しているのだ。北朝鮮はトランプ大統領の予想しにくい行動故にしばらくは行動を自制したようだが、米国が対話の条件を引き下げるのを見て、自分たちの戦略がやはり有効であったと改めて確信したことだろう。対話は目的ではなく手段だ。しかし選挙によって選ばれる韓米両政府は対話そのものを自分たちの業績として誇示したがる傾向がある。北朝鮮は韓米両政府のこのような傾向をよく知りこれを利用する。またトランプ大統領は国内で政治的に追い込まれているため、北朝鮮との交渉そのものを自らの業績にするという誘惑に強く駆られる懸念もある。

 対話はいつの日か再開しなければならない。しかし北朝鮮は今回こそ「検証可能な形での核廃棄」あるいは「崩壊」という二つのうちのどちらかを選ばねばならない。ただし今はより強力な制裁で北朝鮮を締め上げ、その効果と北朝鮮の反応を見極めるべき時であり、幸い中国も北朝鮮への制裁にはかなりのレベルにまで踏み込んでいる。ただもし今後制裁の動力が再び失われてしまえば、その対話はまたも形だけのものとなってしまうだろう。

最終更新:5/18(木) 9:57

朝鮮日報日本語版