ここから本文です

ブラジル人ランナー、肥満に警鐘を鳴らしながらヨーロッパ5000キロを縦断へ

5/18(木) 8:12配信

MEGABRASIL

大人のみならず小児肥満にも警告

ブラジルでは、喜びを極限まで味わい尽くす国民性ゆえか、バターや卵が濃厚な焼き菓子やチーズ入りコロッケなど、糖質・脂質の高いアイテムが日常生活に深く浸透している。

確かにおいしいのだが、一方で毎日食べ続けると健康ではいられなさそうだ、とも実感する。

近年ブラジルでも健康に対する意識が高まってきたとはいうものの、ブラジルの肥満人口は目で見てはっきりわかるほど多く、生活習慣病の若年化が深刻な国だ。糖尿病については国民の半数以上が罹患しているというデータもある。

生活習慣病の若年化に対し、危機感を持った一人のブラジル人アスリートが立ち上がった。

グローボ系ニュースサイト「G1」が5月11日づけで伝えたところによると、ブラジル人マラソンランナー、ハウフ・メスキータさんが、肥満の怖さを訴えながらノルウェーからスペインまで、5300キロを走破するチャレンジを始めるという。

サンパウロ州カンピーナス市出身のメスキータさんは現在25歳で、1999年、家族でベルギーに移住した。物心ついたときから20歳までずっと肥満だったという。

「当時、自分が肥満であるということをあまり気にしたことはありませんでしたが、限界の状態だったようです。何度か減量して、食べて、また太る、ということを繰り返していました。運動は全くしていませんでしたが、20歳になって走り始め、食事も減らすことにしました」(メスキータさん)

現在メスキータさんはベルギーで理学療法を学んでいる。

彼の祖母は肥満による免疫力低下が原因で様々な病気にかかり、苦しみながら亡くなった。メスキータさんはそれをずっと見てきたという。

現在長距離ランナーとなった彼は挑戦の長旅に出ることに決めた。ノルウェー北部のノールカップからスペイン南部のタリファまでを走りぬくマラソンツアーだ。プロジェクトのサイトを立ち上げ、もし時間があれば一緒に走ろう、と呼び掛けている。

「途中区間で走りたい人は誰でも一緒に走れます。でも、最後まで完走するのは自分ひとりです」(メスキータさん)

ツアーは6月5日から75日間を予定している。

超長距離なのでスピードは出さないが、1時間10-11キロくらいになると予想している。1日で約80キロ進むイメージだ。

「日によっては80キロより少ない日もあります。体を回復させるためです。でも完全に休むことはしません。長距離ランナーというのは機械と同じで、一度完全に止まってしまうと再び動き出すのが難しくなります」(メスキータさん)

メスキータさんとともに旅をするサポートスタッフはキャンピングカーで伴走し、食事や休息の世話をする。メスキータさんはビーガンで、肉、乳製品、卵など動物由来の食品を摂らない。そのため植物性食品でマラソンが続けられる栄養素をそろえなくてはならない。米、豆、パスタをたくさん消費することになる。

旅の間、ランナーは8000カロリーを消費する。ちなみに成人の1日あたり必要なカロリーは2500。最も重要なのは夕食なのだという。

メスキータさんのプロジェクトの主旨は、は肥満に関する警告だけでなく、小児肥満の問題に取り組む活動を行っているECOG(欧州における子供の肥満を解決する会合)へのチャリティ活動でもある。

「ヨーロッパでは3人に1人の子供が肥満状態です。これは社会が変わらないと解消しません。私たちにできることは正しい情報を得て、より良い生き方を探り、実践していくことです」(メスキータさん)

プロジェクトのサイトでECOGに対する寄付も受け付けているとのことだ。

ヨーロッパを縦断するもう一つの目的は、EU各国の国境を自由に行き来できることをアピールすることだ。10年以上ベルギーに住んでいるメスキータさんはブラジル人であると同時にベルギー国籍保持者でもあるが、これからノルウェー、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、スペインの9か国をまたいで走ることになる。

ブラジルでこのプロジェクトをやる予定はないのか、との質問に対し、メスキータさんは、肥満人口の多いブラジルでこのようなプロジェクトを行う意味は大きいと述べた。

「でもまずは自分がこれから始めるヨーロッパのプロジェクトを完了させることが先決です。他のプロジェクトについては目の前のプロジェクトが終わってから考えたいと思います」(メスキータさん)

ブラジルでも都市部ではアカデミアと呼ばれるスポーツクラブで汗を流す人も増えてきたが、子供が安心してスポーツで汗を流せる時間・場所はそれほど多くないとみられる。

メスキータさんは小児肥満の問題に対して大人に求められているのは子供に運動をさせることだという。学校だけでなく地域社会がそういう場をどう確保していくかが課題になりそうだ。

(文/原田 侑)

最終更新:5/18(木) 8:12
MEGABRASIL