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2017年版川崎フロンターレ、進化のキモは中村憲剛も驚嘆のあの“スピード”にあり/コラム

GOAL 5/18(木) 16:38配信

川崎フロンターレは、原点に立ち返ることで持ち前の攻撃力を取り戻した。明治安田生命J1リーグ第10節のアルビレックス新潟戦に3-0で快勝すると、続く第11節のジュビロ磐田戦にも2-0で勝利し、今季初となるリーグ戦での連勝を飾った。

加えて鬼木達監督がキャンプから植え付けてきた “守備”も着実に浸透している。連勝した2試合はともに完封勝利。そこには、ただ攻撃力が高いだけではない強固な組織が築かれつつある。中村憲剛も「昨季までとは違う、また別のフロンターレが息づいている」と自信を覗かせる。

チームの中核を担う中村に、新指揮官が重視する守備について聞けば、「あくまで守備のための守備ではなく、自分たちがボールを保持するために、相手にボールを持たせないという大前提がある」と、チームの原点について前置きしたうえで、その変化について教えてくれた。

「ひとつは球際で負けないところ。もうひとつはハードワーク。それに加えて攻守の切り替えのところですよね。この3つはオニさん(鬼木監督)が絶対に譲れないこととして、普段からの練習でもそうだし、試合前にも強調してくれている」

ただし、前線からのプレスにより、高い位置で再びボールを奪い返そうとする動きは、昨季から試みていた。中村の言葉を借るところの「今年バージョンのフロンターレ」とは、どこが違うのか。

「攻守の切り替えを意識するだけではなく、その“速さ”ですよね。阿部(浩之)ちゃんにしても、(長谷川)竜也やハイネルにしても、単純に運動量がある。それに(小林)悠も(大島)僚太も、最近、切り替えがかなり速いですからね。やっぱり、そういう選手が前にいるとボールは取れる。僕が見てても『はえー』って思いますから。とにかく反応がかなり速い」

■持ち前の攻撃力を引き出した守備の安定

チームとして前向きな守備ができているのは、今季よりガンバ大阪から加入した阿部の存在も大きいだろう。豊富な運動量を武器に、チームのために惜しみないプレスを掛け続ける彼は、素早くプレスバックして守備のスイッチを入れる役目をも担っている。最終ラインを束ねる谷口彰悟が、その頼もしさについて話す。

「阿部ちゃんは特に守備では2~3人分の働きをしてくれる。どんどん追いかけて、どんどん球際を詰めてということをやってくれるので本当に助かります」

中村のコメントに戻れば、「1試合で考えたとき、そこ(中盤)を越えられることもありますけど、焦らずに対応することもできている。抜かれるときもありますけど、そのときはちゃんとブロックを作ったりとか、チームの中にこうしようというのがある」

事実、前節のジュビロ戦も先制点を奪った後は、重心がやや後ろに下がったこともあり、受け身になる時間帯が続いた。だが、今のフロンターレには、「押し込まれているのではなく守れている」という感覚があると、谷口は話す。

「昨季のことを言えば、後ろもどっしりと構えて耐えて耐えて、後半なんとか点を取ってという感じでしたけど、今は前半から戦い方の使い分けができている。だから、耐えているのではなく、相手にボールを回させているという感じ。ジュビロ戦も相手は(サイドに)揺さぶってきて、見ている人はひやひやしたかもしれないですけど、中としてはそんなに怖くないというか。守れるなという意識がありましたね」

なるほど。あくまで理想は1トップを頂点に守備陣形をセットして前向きに守備を行い、高い位置でボールを奪うことだが、それをかいくぐられても、守り切れる自信がチームにはあるのだ。

大島僚太、エドゥアルド・ネット、そして中村憲剛と面子が揃った攻撃陣は、阿部やハイネルといった新戦力もフィットして威力を増している。攻撃のための守備ができているからこそ、すなわち攻撃も機能しているのである。

■見えてきた「新しいフロンターレ」

今節は鹿島アントラーズとのアウェイゲームに乗り込む。昨季は1stステージ優勝をさらわれただけでなく、チャンピオンシップ準決勝、天皇杯決勝と、節目で同じ相手に苦汁をなめてきた。その再戦とあって周囲も煽っているが、言われずとも士気は自然と上がっている。谷口は語気を強めた。

「(天皇杯決勝では)セットプレーで点を取られたり、バトルするところで差が出たって感じましたし、一人ひとりが戦うことがいかに大事かを感じた。そこはみんなの頭の中にもあると思いますし、そこで負けないようにしたい。自分たちが上回っているというところを証明できるように戦いたいですね」

まさにその戦う姿勢こそが、鬼木監督が植え付けた一面でもある。中村も続いた。

「基本は自分たちがボールを握ること。相手にサッカーをさせないというか。全部が全部は無理だろうけど、その時間をできるだけ増やせるように努力しようとしている。それがはまりだした意識はあるし、鹿島相手にもできると思いますよ」

指揮官も代わり、メンバーも変わった。AFCチャンピオンズリーグとの連戦を戦う中で苦しみながらも、ようやく見えてきた「新しいフロンターレ」がある。

「パスワークで相手を圧倒する」という本来の攻撃に加えて、「球際、ハードワーク、攻守の切り替えの速さ」という守備を手にした2017年のフロンターレは、アントラーズを相手にどこまでできるのか。

「そういう意味では楽しみですよね」

ニヤっと笑った中村に、やはり確固たる自信を見た。

文=原田大輔

最終更新:5/18(木) 16:38

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