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「地下足袋のパロディー?」調べたらびっくり 大変なブランド品だった…

qBiz 西日本新聞経済電子版 5/18(木) 11:19配信

 福岡市・天神の中心部を散策中、ふと目が留まった物がある。岩田屋本店の本館北側ショーウインドーに陳列されている婦人物のブーツやハイヒール、スニーカー。よく見ると、つま先が親指と他の指とで股状に分かれている。「地下足袋のパロディー?」と考えつつ、ウインドーの片隅に掲げてある英文字をスマホで調べたらびっくり。大変なブランド品なのだった。

 ブランドは「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」。ベルギー出身デザイナー、マルタン・マルジェラ氏が1988年、パリで設立した。マルジェラ氏は大物ジャン・ポール・ゴルチェに師事し、独立後に「エルメス」のデザイナーを担当したことも。しかし、表舞台に立つことを好まず、服地に古着やレコードの破片などを使って「反・消費社会」も主張。「脱構築派」「服の意味を問う哲学者」とも呼ばれた前衛派デザイナーだ。

 かなり気難しそうな人物だが、実は大の日本好き。和装の際に履く足袋からインスピレーションを得て、ブーツやハイヒールなどの「タビ」シューズを開発した。マルジェラはトータルファッション・ブランドとして世界的に有名だが、タビシューズはパリコレなど大舞台のランウエイで必ず登場するほど、ブランドの象徴的アイテムに。その後、マルジェラ氏が表舞台から身を引き、2014年に英国のデザイナー、ジョン・ガリアーノ氏がクリエイティブディレクターに就任した後も、タビシューズが定番であることは変わらない。

 さて。ショーウインドーに並ぶのは2017年春夏コレクションの一部。金属のような光沢を放つシャンパンゴールド加工や、表面にチョコレートの包み紙を貼り重ねたようなショートブーツに、黒とシルバーを組み合わせたハイヒール、ルネッサンス絵画をあしらったスニーカーブーツ…。いずれも10万円を超えるという価格設定にも驚いてしまう。

インスピレーションを受けた足袋

 一体どんな人がタビシューズを履くのか。岩田屋三越(福岡市)に聞くと、「マルジェラの感性を共有して頂ける人なら誰でも。メンズもあり、世代、性別を問いません」との回答。履き心地は「ヒールは筒状で安定。靴底のクッションも効き、見た目以上に快適」らしい。

 足袋はいわば日本伝統の靴下。シューズという意味では地下足袋になる。博多で地下足袋といえば博多祇園山笠。「オイサ」の掛け声に合わせて山笠を舁(か)く男衆は、水法被と締め込み、地下足袋姿が正装だ。博多祇園山笠用語辞典によると、地下足袋を考案したのは福岡県久留米市で大正時代に足袋製造業を営んでいた石橋徳次郎。その弟・正二郎がゴム底製造のノウハウをタイヤ製造に生かして創業したのが「ブリヂストン」だ。

 マルジェラ氏がインスピレーションを受けた足袋。その様式美は世界のファッション界を席巻しているが、そこには半世紀以上前から世界の自動車産業を支えてきた技術のヒントも隠れていたわけだ。夢が膨らむウインドーショッピングとなった。

西日本新聞社

最終更新:5/18(木) 11:19

qBiz 西日本新聞経済電子版