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「共謀罪」拭えぬ不安 過去捜査に翻弄の県内関係者、乱用や自白偏重懸念

佐賀新聞 5/18(木) 10:06配信

「処罰対象者増えないか」「冤罪の危険性が高まる」

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を巡り、与野党の攻防が衆議院で続いている。与党は委員会採決を強行する構えだが、捜査機関による法律の「乱用の恐れ」を懸念する声は絶えない。かつて佐賀県警や佐賀地検の捜査に翻弄(ほんろう)された人たちも「政府が『適正に運用する』と繰り返すだけでは信用できない。十分な審議をしてほしい」と訴えている。

 「この法が成立すれば、私のように自覚がないまま処罰の対象になる人が増えるかもしれない。それはとても怖いこと」。10年前、佐賀県警に強盗予備容疑で逮捕された佐賀市の男性(45)は、法案の内容を不安視する。

 男性は2007年7月、知人から強盗計画に運転手役として誘われ、犯行を阻止してもらおうと実行直前に警察に通報した。ところが、県警から予定通り行動するように要請され、現場の民家まで行ったところ、別の容疑者とともに逮捕された。知人の指示で目出し帽を買ったことが強盗予備罪に当たるとされた。

 男性は起訴猶予になったが、捜査に協力したのに逮捕されて20日間勾留された上、報道発表されて名誉を傷つけられたとして県を提訴した。佐賀地裁は10年8月、犯意がない男性に計画に加担し続けるよう要請したことは「違法な捜査」と認定。福岡高裁も支持し、判決は確定した。

 犯罪の準備段階で罪に問う「予備罪」は、殺人や強盗など37の重大犯罪に規定がある。現在審議されている法案は、犯罪の計画段階まで処罰を前倒しにする内容で、対象犯罪は277。男性は「私のケースのように検挙の実績を優先し、罪のない人まで逮捕するんじゃないか」と、捜査機関による恣意(しい)的な運用を懸念する。

 犯罪を計画段階で処罰しようとすれば、物証が少なく、自白偏重の捜査になるという指摘もある。

 01年の旧佐賀市農協の不正融資事件で無罪になった元組合長(故人)の次男(58)=福岡県春日市=は「時代に合った犯罪抑止の法律は必要だと思うが、捜査を暴走させない対策を取り調べの可視化以外にも講じてほしい。そうじゃないと冤罪(えんざい)の危険性が高まる」と危惧する。

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最終更新:5/18(木) 10:06

佐賀新聞