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沖縄に専門外来ゼロ 成人の「先天性心疾患」患者、小児科対応にとまどい

5/18(木) 8:55配信

沖縄タイムス

 先天性心疾患で新生児期や幼少期に手術を受け、成人になった「成人先天性心疾患」患者を診療する専門科が県内になく、患者たちは成人の心疾患の専門ではない「小児循環器科」や、先天性心疾患の知識が少ない成人の「循環器科」などに通い続けている。技術の進歩などで数十年前にはできなかった手術に成功し、成人の患者数が年々増加する中、専門外来の整備や専門医、専門スタッフの育成が必要になっている。(社会部・浦崎直己)

 先天性心疾患は出生100人に1人が発症するといわれ、沖縄では毎年約170人の患者が生まれていると推計される。このうち、複雑心疾患や手術が必要な患者は少ないが、何度も手術が必要なケースもある。子どもの病気とされ、通常は小児科医が診察や手術を担うが、成人となった患者の受け入れ先は曖昧になっている。

 成人患者の多くは小児科に通院しているが、小児科医では加齢に伴う不整脈や心不全、生活習慣病との合併症などに対応できない。

 一方、成人専門の医師では先天性心疾患の手術をした心臓への見識が十分でなく、成人患者の診療や手術、リスクがある妊娠出産には専門医やチーム医療での対応が必要という。

 成人後も小児科に通院・入院せざるを得ない患者の精神的負担も指摘され、県外では「成人先天性心疾患外来」を設ける病院もある。日本成人先天性心疾患学会によると、全国36病院に専門外来があるという。

 全国心臓病の子どもを守る会県支部の親川武司支部長は「手術に成功した心臓病の子どもたちが大人になると、中ぶらりんになる。ぜひ専門外来を整備してほしい」と訴える。

 県内で先天性心疾患の新生児のほとんどを受け入れている県立南部医療センター・こども医療センターでは、年間150件ほど先天性心疾患の手術を実施。昨年1年間の外来患者約3千人のうち20歳以上の割合は10%、15歳以上は24%。今後も成人の割合は増加が予想される中、小児科に通い続ければ小児診療への影響も懸念されている。

 同センターの小児循環器内科の中矢代真美部長と小児心臓血管外科の長田信洋部長も専門外来を新設する必要性を強調。医療従事者や敷地、機器の確保などの課題は多く、一括交付金を使った整備などを院内で検討している。「先天性心疾患は将来の手術時期も考えて治療するため、継続性が大切。担い手の集約やチーム医療が重要になる」と語った。

最終更新:5/18(木) 13:45
沖縄タイムス