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コーセー業績好調 営業利益、資生堂超え 買収の米事業が寄与

SankeiBiz 5/20(土) 8:15配信

 化粧品業界で、コーセーの業績好調ぶりが際立っている。同社の2017年3月期の連結営業利益は前期比13.1%増の391億円と3期連続で過去最高を更新し、業界の巨人、資生堂の営業利益(16年12月期で367億円)を上回った。売上高では3倍以上の資生堂を超える収益力の“秘密“はどこにあるのか。

 「私以上に社歴の長い役員や幹部が(長年目標としてきたので)喜んでいるのではないか」

 コーセーが17年3月期決算を受けて5月1日に開いた経営説明会。小林一俊社長は「資生堂超え」の率直な感想を吐露した。

 17年3月期は、売上高も9.6%増の2667億円と4期連続で過去最高を更新。営業利益率は15%に迫る高水準だ。今期も売上高2820億円、営業利益415億円と、連続の最高更新を目指している。

 コーセーの業績好調を支えているのは、同社がハイプレステージと呼ぶ高級品群だ。「コスメデコルテ」「アルビオン」「ジルスチュアート」といった主力の高級ブランドが軒並み過去最高の販売を記録した。訪日外国人(インバウンド)の需要も引き続き堅調で、関連売上高は145億円を計上した。

 ただ、高級品やインバウンド需要の好調は資生堂も変わらない。明暗が分かれているのは果敢にM&A(企業の合併・買収)を仕掛けた米国事業だ。

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 ■増益維持、かぎは中国事業

 資生堂は、2010年に17億4000万ドル(約1966億円)を投じて米国メーカーのベアエッセンシャルを買収した。16年には「ローラ メルシエ」を展開する米ガーウィッチ・プロダクツも傘下に収めている。

 だが、買収後のベアエッセンシャルは赤字が続き、いまだ構造改革の途上にある。ガーウィッチも先行投資が続く。直川紀夫最高財務責任者(CFO)は「ベアエッセンシャルは(主要販路である)大手百貨店のメイシーズが大量閉鎖した影響も受けている」と話す。

 このため今月12日に発表した17年第1四半期(1~3月期)決算は、米国を中心とする米州事業の営業赤字が前年同期の4億円から37億円に拡大した。

 一方、コーセーも14年に米タルトを135億円で買収した。14年12月期のタルトの売上高は9600万ドルにすぎなかったが、2年後には2億5900万ドルと2倍以上に急増。営業利益は7700万ドルに達し、全社の営業利益の2割超を稼ぎ出した。

 タルトは不純物を含まない、健康によい原料を使っているのが売りの自然派ブランドだ。日本では未発売のため、なじみが薄いが、有力化粧品専門店の「セフォラ」と「ウルタ」で扱われて販売が拡大。写真投稿サイト「インスタグラム」などのSNSを積極活用し、一般人ながら社会的な影響力のある「インフルエンサー」を使ったPRでも成果を上げている。小林社長は「コーセー本体がシェアがとれないところをタルトにとってもらう」と意欲をみせる。

 米国では、コスメデコルテも「デコルテ」の名称で販路を広げており、高級店が並ぶニューヨークの五番街への出店も視野に入れる。

 もっとも、絶好調のコーセーにも死角はある。中国だ。

 17年3月期の中国売上高は前期比33%減と落ち込み、赤字に終わったもよう。苦戦の理由は現地専用ブランド「美膳媛(メイシャンユエン)」や「アブニール」の不振にある。

 中国は消費者の輸入品志向が強い。ネット通販の普及もあり、現地ブランドは存在感を発揮できずにいる。このため長浜清人常務は「合理化の方向を含め検討していく」と改革の必要性を認める。

 中国事業は資生堂も低迷していたが、こちらはひと足早く改革が実り、1~3月期の営業利益は前年同期の35億円から66億円に倍増。刷新に踏み切った現地ブランド「オプレ」は単月ながら黒字化を果たした。17年12月期は全社の営業利益が455億円と、コーセーを抜き返す見通しだ。

 コーセーは、中期経営計画最終年度の20年3月期に売上高3100億円、営業利益率15%を目標に掲げる。利益の拡大ペースを維持するには、海外全体を伸ばすだけでなく、中国事業の改善が欠かせない。(井田通人)

最終更新:5/20(土) 8:15

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