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“空調を丸ごと外に出す”冷却システム、データセンターの新たな常識となるか

5/19(金) 9:10配信

スマートジャパン

■従来比で60%のエネルギーコスト削減

 データセンターのトレンド「高密度・高発熱化対応」に対する1つの答えとなる――。NTTファシリティーズは、2017年5月10~12日に東京ビッグサイトで開催された「データセンター展」で、間接蒸発冷却式空調システム「Oasis(オアシス)」を展示した。

【間接蒸発冷却式空調の仕組み】

 同社ビジネス推進部の上田哲也氏によると、Oasisは室内機と室外機で構成される一般的な空調機と異なり、“空調を丸ごと外に出したもの”という。室内の高温な空気をダクトで室外の筐体に搬送し、熱交換器に送風して冷却を行い、再び室内に空気を戻す。

 外気条件に応じて、3つの冷却モードがあるのが特徴だ。冬向けの「ドライモード」では、熱交換器表面に低温の外気を送風することで、空気対空気の熱交換を行い冷却する。中間期向けの「ウェットモード」では、外気送風と水噴霧による気化熱を利用して冷却。夏向けの「ウェット+補助熱源モード」は、ウェットモードの冷却だけでは取りきれなかった熱量のみを、圧縮機などの補助熱源を利用して冷却している。

 またポリマー熱交換器を採用。アルミニウム熱交換器はスケール付着や経年劣化が起きてしまうが、ポリマー採用により高いロバスト性と熱交換率を両立した。ブース担当者は「一概には言えないが、15年間の寿命は保証できるだろう」と語る。

 これらにより、年間エネルギーコストは標準的な空調システムと比較して60%、同社最新のシステムからは27%削減可能とする。モジュールごとのデータセンターの省エネ性能を表す「pPUE(partial Power Usage Effectiveness)」は1.13である。

■「バルコニータイプ」を展開

 Oasisは同社がスウェーデンMuntersと2016年8月に事業提携を行い、国内における独占販売権を取得して提供を開始した。上田氏によると、欧州では郊外の広い敷地に平屋あるいは2階建てのデータセンターを建設するケースが主流である。また間接蒸発冷却システムの普及は進んでいるが、多くの場合は屋上に設置するという。

 日本では都市部の限られた敷地に、多層型データセンターを建設するケースが多い。限られた屋上面積で、高発熱・高密度に設置された装置を冷却しなければならない。そのためNTTファシリティーズでは、国内展開に当たり「バルコニータイプ」を発表した。国内市場向けにカスタマイズした製品で、名前の通りバルコニーへの設置が可能だ。

 標準品とは異なり給排気方向を同一側面とすることで、接地面積に制約のある屋上ではなく、各階でのバルコニー設置を実現。都市部における騒音対策として、バルコニータイプ用に最適化したサイレンサーの取り付けにより、騒音値を低減したとする。

 普及に向けて課題はまだ多いとしているが、上田氏は「国内市場にOasisのような新しい概念を取り入れることに、1番意義があると考えている」と語った。