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<国後島自由訪問>3集落不許可 元島民ら落胆の帰港

毎日新聞 5/19(金) 9:03配信

 北方領土・国後島を3泊4日の日程で訪れていた自由訪問第1陣(59人)は18日、交流専用船「えとぴりか」で根室市根室港に戻った。予定していた瀬石とニキシロ、東沸の3カ所の集落のいずれもロシア当局の立ち入り許可が下りず、元島民らは落胆した表情で下船し、記者会見でも「残念でならない」と悔しそうに振り返った。【本間浩昭】

 今回の自由訪問では、89歳を筆頭に80代の元島民が8人も参加した。昨年12月の日露首脳会談後の共同記者会見で、プーチン大統領が「これまで閉じられていた地域に関しても、最大限に自由なアクセスを確保していきたい」と発言していただけに、参加した元島民らの落胆は大きい。

 国境警備隊の基地がある瀬石出身の古林貞夫副団長(78)=北海道根室市=によると、瀬石に行く途中の分岐点に看板があり、「ここから先は許可のない者は入ってはいけない」とロシア語で書かれていたので、祭壇を据えてそこでお参りしたという。これまでも一度も立ち入りできておらず、「生まれ育った古里に行きたい気持ちで参加した。プーチン大統領の発言を聞いて、家のあった所まで行けるのかな、と期待感があった。それなのに、何のために行ったのか分からない」と語った。その上で、「大統領が悪いというのではなく、政治的な仕組みの中でそうなったのだと思う」とも付け加えた。

 東沸沖では洋上慰霊祭が実施され、出身の清水征支郎団長(78)=同浜中町=は「なぜこのようになったのか。もっと(立ち入り規制が)軟らかくなっていると期待していたが、前より悪くなっていた。何が何やら全く分からない」と落胆の声を上げた。

 中谷秀明副団長(78)=同釧路市=は「期待外れもいいところ。前回は行けたのに、どうしてなのか」と、外交交渉できちんと決められなかったことに不満をもらした。

 同行した外務省職員によると、「訪問直前になって、ロシア側で調整が整っていないとの通報があった。現地でも交渉したが、(希望地への訪問を)実現できなかった。(12月の)日露首脳会談後、鋭意調整してきたのですが」と語った。

 19日からは自由訪問とは別の枠組みの「ビザなし交流」により元島民らが北方領土を訪れる。

最終更新:5/19(金) 9:03

毎日新聞