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被災した福島県浪江町に、世界最大のCO2フリー水素拠点 復興のシンボルに

スマートジャパン 5/19(金) 7:10配信

 2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた福島県を、世界最大の再生可能エネルギーと水素エネルギーのモデル拠点にーー。政府が進める「福島新エネ社会構想」では、県内に再生可能エネルギーを活用する世界最大の水素製造工場を建設する計画だ。これに向けて福島県は、浪江町(なみえまち)を建設候補地として国に推薦することを決めた。

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 福島新エネ社会構想は「再エネの導入拡大」「水素社会実現のモデル構築」「スマートコミュニティの構築」という3つの柱で構成されている。今回福島県が事業用地を推薦した、世界最大の水素製造工場を建設するプロジェクトは、3つの柱のうち水素社会実現のモデル構築に含まれる。

 水素製造工場の建設については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導している。建設計画の主体となる事業者は、2016年に公募した「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発」で採択された東芝、東北電力、岩谷産業の3社だ。現在、工場の設備仕様などの検討を進めている。

 工場の建設予定地は、公募を行ったところ福島市から2カ所、郡山市から2カ所、浪江町から1カ所の応募があった。この中から現在検討が進んでいる工場の技術的要件などを踏まえ、現在の用地の状況、道路や水道などのインフラ整備の状況、水素製造システムと太陽光発電システムを設置した場合の距離、用地の確保および利用に関する費用などの観点で評価を行い、最終的に浪江町の推薦が決まった。最終的な決定は夏頃までにNEDOが行う予定だ。

2020東京五輪で福島産のCO2フリー水素を活用

 建設する水素製造工場は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)までに稼働させる計画だ。再生可能エネルギー電源を利用して製造したCO2フリー水素は、東京に運搬し、東京五輪で活用することも計画されている。

 2016年5月に福島県と東京都、さらに産業総合研究所と東京都環境公社が加わり四者協定を締結。水素を製造する福島県と利用する東京都が連携して研究開発を進め、両地域の民間企業を相互支援して産業の振興にもつなげる計画である。

 東京に運んだ水素は、今後普及が見込まれる燃料電池システムや燃料電池自動車(FCV)に供給する構想となっている。東京都が目指す水素社会を促進しつつ、福島県のエネルギー産業の拡大も図る。

 今回福島県が政府に推薦する浪江町は、福島第一原発事故の影響で甚大な被害を受け、2017年3月31日まで広い地域で避難指示が出ていた自治体だ。現在でも8割以上の地域が帰宅困難区域に指定されている。かつて「浪江・小高原子力発電所」の建設が予定されていた地域でもある。また、同町は第2次復興計画でとして「水素エネルギーを活用したまちづくり」を掲げている。

 2017年5月15日に定例会見を開いた福島県の内堀雅雄知事は、「今回計画している水素製造工場は世界最大の拠点となる。日本一ではなく、世界一のものを2020年に向けて作っていくというビッグプロジェクト。しかも、今回推薦した浪江町は、避難指示により全町避難していた自治体でもある。そのような地において、2011年の東日本大震災、原発事故から10年の節目である2020年には、一定の住民の方がふるさとに戻り、このような世界最大の水素製造拠点をつくり、次の時代を切り拓く大事な拠点になり得ることを国内外に示すことが、福島の復興が進んでいることの1つのシンボルになると期待している」とプロジェクトへの期待を語った。

最終更新:5/19(金) 7:10

スマートジャパン