ここから本文です

ケガで満身創痍も…稀勢の里が休場できないもう1つの理由

日刊ゲンダイDIGITAL 5/19(金) 12:00配信

 横綱の相撲にしては、あまりにお粗末だった。

 18日は千代翔馬との初顔合わせを制し、3勝2敗とした横綱稀勢の里(30)。立ち合いから負傷を抱えている左半身を攻められ、防戦一方。右上手を取られると、外掛け、上手投げと次々に技を繰り出す千代翔馬に、土俵内を引きずり回された。

 何とかしのいで寄り倒しで仕留めたものの、不甲斐ない相撲を取った自身への不満だろう、支度部屋では報道陣の「(相手の攻めに)落ち着いていた?」という質問に「あー、そうっすね」と生返事をしたきり、後は何を聞かれても無言だった。

 先場所で負った左上腕と左胸の筋肉損傷の影響で、いまも左は満足に使えない。休場を促す声も周囲にはあるが、横綱たるもの、一度出場したからにはそう簡単に休めないのも事実だ。「相撲を取れる限り休場すべきではない」というのは、稀勢の里がいまでも慕う先代師匠の故・鳴戸親方(元横綱隆の里)の教えでもある。

 さらに稀勢の里には、休場できない理由がもうひとつある。それが弟弟子の関脇高安(27)の援護射撃だ。

■高安は昇進まであと5勝

 高安は、白鵬、日馬富士と並んで初日から5連勝。この日も遠藤を寄せ付けなかった。先場所、先々場所は計23勝。大関昇進の基準は「3場所で33勝以上」なので、あと5勝すれば念願の昇進がかなう。さらにこのまま突っ走れば、賜杯も夢ではない。

 稀勢の里は普段、他の力士の取組を気にすることはないが、今場所の高安戦だけは別。険しい顔で一挙一動をも見落とすまいと、支度部屋でモニターを食い入るように見ている。

「稀勢の里は横綱昇進後から、『自分が高安を大関に引っ張り上げる』と話している。常に自分の稽古相手を務めてくれた高安には、それだけ感謝の気持ちが強い。そんな弟弟子の初優勝がかかっているとあれば、負け越しが濃厚にならない限り休場しないでしょう。自身の優勝を諦めたわけではないだろうが、『それが無理なら、せめて高安の露払いを』という気持ちを持っている」(部屋関係者)

 同じ横綱である白鵬や日馬富士と当たるのは場所後半。それまで勝ち星先行でいければいいのだが……。

最終更新:5/19(金) 12:00

日刊ゲンダイDIGITAL