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8Kサッカー観戦、一瞬で終わるダウンロード KDDIの5G

ITmedia ビジネスオンライン 5/19(金) 12:04配信

 KDDIはこのほど、第5世代移動体通信技術(5G)の実証実験を報道向けに公開した。超高精細な8K映像を4本同時配信し、自由な視点で楽しんだり、大容量動画ファイルを一瞬でダウンロードするなど、近い将来に実現可能な技術を披露した。

【画像:サッカーの試合を縦から捉えた8K映像】

 デモはバスに乗車した状態で、KDDIビル(東京都新宿区)周辺に構築している、28GHzでの5G通信が可能なエリア内を周回しながら実施。移動体の内部や、交通量の多いエリアでも5G通信が可能なことを示す狙いがある。

 エリア内では、地上約10メートルの高さに設置した基地局と、バスの上部に取り付けたアンテナとの間で5G通信を行うことができる。

●デモで示された5G開発の現状は?

 披露したのは、(1)「自由視点映像」、(2)「VR(仮想現実)」、(3)「瞬間ダウンロード」――の3つ。

好みの視点からスポーツ観戦

 自由視点映像は、異なる角度から撮影した4本の8K映像を重ね合わせることで、ユーザーが任意の視点から映像を閲覧できるもの。視聴者は、テレビゲームなどで使用するコントローラーをモニターに接続し、スティックを操作すると、視点の前後・上下・左右を自由に調整可能だ。

 一度に大容量の通信が可能な5Gの特徴を生かし、8K映像を4本同時に配信することで、スムーズな合成を実現したという。

 デモではサッカーの試合を8K映像で公開。一般的なサッカー中継ではグラウンドを横から捉えたアングルが使用されているが、デモではグラウンドを縦から捉えたアングルや選手を至近距離で捉えたアングル、斜め方向からのアングルなど、さまざまな視点からの映像を楽しめるようにしていた。

タイムラグなくVRコンテンツを再生

 5Gを活用したVRでは、車内でヘッドマウントディスプレイを装着すると、車の動きに応じて瞬時に映像が変化する。

 車載のGPS受信アンテナが位置情報をリアルタイムで取得。5Gを活用してKDDIビル内のVR映像生成サーバに位置情報を送信すると、サーバ側が現在地を反映した映像を作成して送り返す仕組みだ。

 デモでは、月面探査の様子をリアルタイムに体験できるVRコンテンツを公開。バスの動きに合わせてタイムラグなく映像が追随し、バスがカーブすると映像内の探査機が巨大なクレーターをよけながら曲がるなど、月面の様子を楽しめる仕様になっていた。

 技術開発を担うKDDIの松永彰シニアディレクターは、「現在のVRの技術では、実際の視線の動きと映像の動きにタイムラグがあり、ユーザーに車酔いに似た“VR酔い”を引き起こす危険性がある」という。「今回の取り組みでは、5Gの低遅延性を生かして瞬時に映像を生成するため、違和感はほとんどない」と自信を見せる。

LTEの100倍のスピードで高速ダウンロード

 瞬間ダウンロードは、文字通り大量のデータを一瞬で読み込むものだ。デモでは、9種類・計500MBの動画ファイルを使用。バスが5Gエリア外を走行している際はダウンロードに約2分を要していたが、エリア内に入り、5Gに切り替わると、約1秒で全種類のダウンロードを完了。読み込み速度はLTEの約100倍に上るという。

●KDDIの今後の動向は?

 KDDIは今後、パートナー企業と連携して実証実験を進めていく。

 建設業の大林組とは、ショベルカーの外部にカメラを搭載し、5Gを活用して映像を遠隔地のオペレーターと共有した上で、現場に指示を送る実験を実施する予定。警備サービス業のSECOMとは、警備員が着用したウェアラブルカメラの映像を5Gを活用して集約・分析することで、防犯対策を強化する実験を行っていくという。

 松永シニアディレクターは、「5Gは、4Gよりも使用できる周波数の幅が広い。そのため、5G内でも、どの周波数の電波を組み合わせれば効率良いビジネスが展開できるかが未知数だ」と課題を挙げ、「パートナー企業と多様な環境下で実験を行い、5Gをより発展させていきたい」と展望を話している。

最終更新:5/19(金) 12:04

ITmedia ビジネスオンライン