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<退位法案閣議決定>一定の評価も、根強い懸念の声

毎日新聞 5/19(金) 17:29配信

 天皇陛下の退位を実現する特例法案が19日、閣議決定された。昨年8月8日のおことばの公表から、9カ月での法案の国会提出。元側近や皇室制度の研究者は議論の前進に一定の評価を示す。一方で、退位に関する恒久的な制度が確立されないことへの懸念は残り、おことばを発端とする退位の実現に憲法上の問題を指摘する声も根強い。

 小田部雄次・静岡福祉大教授は「退位に反対の意見もあるなか、法案がまとまったことをまず評価したい」と話す。「今後、女性皇族の結婚などで皇族は減少し続けることが予想されている。皇位の安定的な継承をどう維持するかという課題は、退位の次の問題として必ず議論しなければならない」

 法案は、陛下一代の退位を想定した内容だ。だが過去に陛下の側近を務めた宮内庁元幹部は「恒久的な退位の制度こそ陛下が望まれたことではないか」と振り返る。それは8月8日のおことばで「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」と陛下が述べたことに表れているという。「将来にわたって象徴の務めを途切れさせないためには、務めが果たせなくなる前に皇位を譲るしかない。それは陛下一代に限った問題ではないということを、ご自身は強く感じておられるはずだ」

 退位の意向がにじむ陛下のおことばを受け、政府は当初から退位を認める方向だった。即座に法案策定に取りかからなかったのは、「天皇は国政に関する権能を有しない」との憲法の規定があるからだ。昨年9月に設置した有識者会議は、おことばと政府の対応を直結させないための「クッション」でもあった。会議の名称も「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」とし、あえて「退位」という言葉を外した。

 それでも今回の手続きが憲法に抵触する可能性は打ち消せないと瀬畑源・長野県短大助教は指摘する。「退位の実現に、陛下のおことばが契機となっていることは明らか。憲法の規定に照らすと実に危うく、イレギュラーな形である点はぬぐえない」。国会での法案の審議について瀬畑さんは「イレギュラーな手続きを将来も繰り返さないよう、退位の条件や手続きをしっかり議論してもらいたい。短期間での成立だけを優先させてはいけない」と話している。【高島博之、山田奈緒】

最終更新:5/19(金) 22:53

毎日新聞