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天皇退位特例法案・ポイント解説

時事通信 5/19(金) 15:06配信

 ◇退位後の称号=象徴・権威の二重性回避
 天皇陛下の退位後の称号は、退位に関する特例法案第3条で「上皇」と規定した。退位後に新天皇との間で象徴・権威の二重性が生じる可能性を回避する観点から、「太上天皇」など「天皇」の文言を用いず、歴史的に定着してきた名称である称号とした。皇后さまについても「上皇后」と規定し、上皇と一対の称号とするとともに、配偶者であることを表した。

 退位後の天皇と皇后さまの敬称は「陛下」とし、皇籍は維持する。退位後の天皇は皇位継承資格を有しないほか、新天皇の代理となる摂政や臨時代行にも就かない。再即位はしない。歴代天皇が継承してきた三種の神器の贈与税は非課税とする。

 逝去した場合、退位後でも天皇と同様、政府主催の「大喪の礼」を実施する。歴史上、退位後の天皇の葬儀が、同時代の天皇と同等に扱われたためだ。墓所についても天皇と同様に「陵」とする。

 ◇「上皇職」新設で陛下を補佐
 天皇陛下が退位し「上皇」となった後、宮内庁に新設される「上皇職」が陛下を補佐する。天皇を支える侍従職に倣ったもので、「上皇侍従長」や「上皇侍従次長」も置かれる。

 上皇職を置くのは天皇や皇太子には世帯ごとに侍従職と東宮職という補佐機関があることを踏まえた措置。現在、侍従職は約80人、東宮職は約50人でそれぞれ組織されており、今後、上皇職の規模が検討課題となる。

 退位した陛下と皇后さまの生活費については、天皇や皇太子などが内廷費の支出対象となっていることを踏まえ、同様に内廷費の対象とする。2017年度の内廷費は3億2400万円。上皇、上皇后が支出対象に加わることで増額されるとみられる。

 陛下が退位した後、象徴としての地位に基づいて行う公的行為は、基本的に全て新天皇に移譲される方向だ。これについて宮内庁は、「象徴が二元化することはない」と説明している。

 ◇退位の時期と改元手続き
 特例法案は、天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位の時期について「法律の施行の日に限り、退位し、皇嗣が直ちに即位する」と規定。施行日は「公布から3年を越えない範囲内」で定め、首相はあらかじめ衆参正副議長や皇族らで構成する皇室会議の意見を聴くよう求めている。

 政府内には、天皇退位と新天皇即位の時期を2018年12月26日から31日までの間とする案がある。23日に天皇陛下が85歳となられることや、大正天皇逝去の日に当たる25日は皇居で祭祀(さいし)が行われるため、26日以降の代替わりが望ましいためだ。

 代替わりから改元までの移行期間を数日程度にとどめるため、新たな元号に改める日は19年1月1日を想定。政府は来年夏にも新元号を公表する方向で調整を進めている。特例法案では、行政手続法によるパブリックコメント(意見公募)は行わないとしている。

 ◇秋篠宮さま、皇太子待遇に
 天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位に伴い、秋篠宮さまが皇位継承順位1位となる。特例法案は5条で、継承1位の皇族を皇太子と同等の待遇とするよう定めており、秋篠宮さまに適用される見通し。政府は有識者会議の検討結果に基づき、「秋篠宮」の称号を継続し、敬称に「皇嗣」を付ける方針だ。

 秋篠宮さまが継承1位になると、皇太子さまが果たしている役目を引き継ぐことになるため、活動費は現在の3倍に相当する年額9150万円に引き上げられる。補佐機関として「皇嗣職」を新設し、その責任者として「皇嗣職大夫」を置く。皇太子を補佐する「東宮職」の代わりとする。皇籍離脱は認められない。

 秋篠宮家が30年近く国民に親しまれてきたことや、皇位継承に伴って宮家が消滅した事例が歴史上見当たらないことなどを考慮し、有識者会議は陛下退位後も「秋篠宮」の称号継続が妥当と判断。敬称については「皇嗣秋篠宮殿下」「秋篠宮皇嗣殿下」「皇嗣殿下」の3案を提示している。 

最終更新:5/19(金) 16:53

時事通信