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ロシアが北の貨客船「万景峰」受け入れ 港周辺は特務機関が封鎖 中国人観光客がターゲット?

産経新聞 5/19(金) 8:44配信

 【モスクワ=黒川信雄】北朝鮮北東部の経済特区、羅先の羅津港を出発した同国の貨客船「万景峰」が18日朝、ロシア極東のウラジオストク港に到着した。両国を結ぶ初の貨客船航路で、今後、1週間ごとに両港を往復する。ロシアの国営テレビは、ロシアの特務機関が封鎖した同港周辺の生々しい様子を伝えた。

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮をめぐっては、国際社会からの圧力が強まっているが、同国に融和的なロシアの姿勢が改めて浮き彫りになった格好だ。

 ロシアの運航会社「インベスト・ストロイ・トレスト」幹部はイタル・タス通信に、18日の便には北朝鮮から帰国したロシア人のほか中国人観光客ら、約40人が乗船していたと明らかにした。今後は、中国人観光客を主な利用者として見込んでいるという。万景峰が出港した北朝鮮側の港は中国吉林省と隣接している。

 ただ極東情勢に詳しい関係筋は、一連の動きが純粋に民間企業の決定によるものとする見方には疑問を投げかける。北朝鮮が国際社会からの孤立を深めるタイミングでの新航路開設は「政治的判断が背後ある」とみるのが当然と指摘する。

 ロシアはこれまで、羅津港を中心とした北朝鮮のインフラ整備プロジェクトを推進することで同国への影響力を強めてきた。今回ウラジオストクと新航路で結ばれた港が羅津港だったことも、ロシアの「戦略的な動き」(同筋)が背景にあるためと指摘されている。

 運航会社は露メディアに、貨物は入念に検査されるため、国連安全保障理事会の制裁決議による規制対象品が輸送されることはあり得ないと強調した。インタファクス通信によると、露外務省のザハロワ報道官は18日、今回の動きが国連安保理の制裁に抵触するのではないかとの記者団の質問に「まったく(制裁の)対象とはならない」と強く打ち消した。

 北朝鮮の対露貿易額は対中貿易と比べ極めて限定的だが、それでも新たな通商路をロシアが開設した背景には、北朝鮮への国際圧力の“ガス抜き”の意義が強いとみられる。経済分野ではロシアはほかにも、極東を中心に数万人規模の北朝鮮労働者を受け入れているが、その一時停止を求める米国に、ロシアは「核開発とは関係ない」と主張し拒否している。

最終更新:5/19(金) 8:44

産経新聞