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米政権、通商交渉が本格始動 8月にもNAFTA再交渉開始 議会に通知 

産経新聞 5/19(金) 8:46配信

 【ワシントン=小雲規生】貿易赤字削減を目指すトランプ米政権の通商交渉が本格的に動き始めた。米通商代表部(USTR)が18日、議会に対して北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を通知したことで、早ければ8月中旬にもメキシコ、カナダとの協議が始まる見通しとなったためだ。ただし再交渉には米国内でも慎重な声があり、今後の先行きは見通せない。

 ライトハイザーUSTR代表は声明で「米国の労働者、農家、畜産家、企業の利益を促進する合意を達成する」と強調した。トランプ大統領も今月、英誌エコノミストのインタビューでNAFTA再交渉の規模は「大幅なものになる」と発言。交渉次第では脱退も辞さないと強調している。

 またライトハイザー氏は議会あての通知で、1994年発効のNAFTAが時代の変化に対応しきれていないと指摘。再交渉では知的財産保護や規制、国有企業、労働、環境などにまつわる問題に取り組むとしている。一方、関税や原産地規則への言及はなかった。

 トランプ氏が再交渉にこだわるのはNAFTA発効後、自動車産業が製造拠点をメキシコに移し、米国に製品を輸出する流れが強まったとの思いがあるからだ。ロス商務長官も再交渉の狙いについて「貿易赤字を削減することだ」と明言している。

 ただし各企業はすでに3カ国をまたがるサプライチェーン(部品調達網)を構築しており、再交渉に対する産業界の反応は複雑だ。米自動車大手で作る自動車政策評議会(AAPC)は18日の声明で「NAFTAは米国の自動車産業の世界市場での競争力を強めてきた」と指摘。そのうえで再交渉では為替操作問題や米国の安全基準を世界的な普及に取り組むよう求めた。

 また米国の農家の間では不安も広がる。米国の牛肉生産者の団体は18日、再交渉について「牛肉生産者に不必要なリスクをもたらす」と懸念を表明。米国からメキシコへの牛肉輸出はNAFTA発効後に750%以上増えたとして、再交渉で成功を帳消しにしないよう訴えている。

最終更新:5/19(金) 8:46

産経新聞