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「刀を抜かないことの美学を感じてほしい」青柳翔が語る『たたら侍』のメッセージ

5/19(金) 12:00配信

ぴあ映画生活

モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門で最優秀芸術賞を受賞した映画『たたら侍』が20日(土)より公開される。映画祭にも参加して、審査員や観客の生の声について触れる機会を持った主演の青柳翔(劇団EXILE)は「純粋に時代劇を楽しんでくださっていましたし、塩をまく意味は? など興味深い質問も受けました」と語る。

『たたら侍』画像

青柳が演じたのは、出雲地方に伝わる製鉄法“たたら吹き”を受け継ぐ村の一家の跡取りとして生まれた青年、伍介。タイトルには“侍”が付いているが人を斬るという行為はせず、“武士ではなく、武士になりたい男”の物語が描かれていく。前作『渾身 KON-SHIN』でもタッグを組んだ錦織良成監督には、「もしも大切な人が傷つけられたら、自分だったら復讐したくなると思います」と正直に打ち明けたのだという。

「今よりも死が何百倍も近い時代に生きていたのならなおのこと、復讐したいと思ったのではないか、と最初は考えました。“憎しみの連鎖を断ち切る”というようなセリフもあるのですが、それはすごく難しいことだと思うんです。現実には世界のいろいろな国で利益をめぐって戦争が起きていて、テロも起こっている。本当にその繰り返しです。僕が言うのはおこがましいのですが、こういう時代だからこそ、この映画が描くメッセージが必要なのかもしれないと感じています。理想的すぎる考え方かもしれないですけど、それが映画の力なのかな、と」

戦国の世を舞台にした時代劇の主人公としては異色ともいえるほどナイーブな青年、伍介の悩める生き方と成長物語には普遍性があり、神話の世界を思わせる風土や文化を伝える映像には、日本ならでは美しさがある。このあたりに、海外の観客の心を震わせ、高い評価を得た理由があるのかもしれない。「山の中に村を丸ごと造ったオープンセットにしても“たたら吹き”のシーンにしても、すべてにおいて本物を追求しています。演じる僕にとってもすごくありがたいことでしたし、セットや衣装、殺陣などすべてにおいてリアリティにこだわって丁寧に作ったこの映画から、“刀を抜かないことの美学”を感じてもらえるのではないかと思います」

取材・文:細谷美香 撮影:源賀津己 ヘアメイク:鵜飼雄輔(TRON)

『たたら侍』
5月20日(土)より、新宿バルト9・TOHOシネマズ新宿ほか全国にて公開

最終更新:5/19(金) 12:00
ぴあ映画生活