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1.7兆円巨額買収したインテルの「危機感」ーAI自動運転開発になぜ参戦したのか?

5/19(金) 20:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

世界最大の半導体メーカーのIntelは、5月3日(現地時間)に、米国カリフォルニア州サンノゼで「自動運転ワークショップ」と名付けた記者説明会を開催した。同社がTier1(ティアワン/共同開発を進める上で最優先の情報を共有する限られたメーカーのこと)の自動車部品メーカー・Delphi Automotiveと共同開発した自動運転車を公開し、サンノゼ市の公道でテスト走行する様子を報道陣に披露した。

自動運転車のテストカーの写真

Intelの自動運転車は見所が満載だ。同社が3月に総額153億ドル(日本円で約1兆7200億円)で買収することを決定したばかりのイスラエルの企業Mobileye(モービルアイ)社が提供するカメラモジュール、さらにはレーダーやライダー(LiDAR/レーザー光を使う周辺環境センサー)などの周囲を検知する各種センサーが合計26個搭載された自動運転車は1時間あたり4.5TB(!)のデータを作り出し、それをIntelのプロセッサがリアルタイムに処理しながら自動運転する。

現在半導体業界は、自動運転の主導権を巡る激しい競争の真っ只中にある。ディープラーニング(深層学習)を使ったAIで先行するNVIDIA、強力なモバイルプロセッサを持ち昨年世界最大の車載半導体メーカーNXPを買収したQualcommなどが、自動車メーカーなどに対して果敢な売り込みを図っている。そうした中で、Intelの強みとはなんなのか?

Intelの財務状況は健全すぎるほど健全

Intelは大きく変わりつつある……これは、長年Intelを取材してきた筆者にとって、ここ数年、強く感じていることだ。その最大の要因は、2013年にCEOに就任した、現在のIntelのリーダーであるブライアン・クルザニッチ氏。Intel社内では名前の頭文字をとってBKの愛称で呼ばれるクルザニッチ氏は、CEOに就任して以来、様々な新しい施策を打ち出してきた。

従来のIntelは、PC向けのプロセッサ、そこから派生するサーバー向けのプロセッサを販売する会社であり、そのビジネスが高収益を生み出してきた。'90年代以降、PCの世界ではWintel(Windows+Intelから作られた造語)という言葉が生まれたとおり、Intelのプロセッサは、マイクロソフトのWindowsとセットで、常に80%以上の市場シェアを誇ってきた。

Intelが発表した2017年の第1四半期の決算を見ても、今のところIntelの財務状況は健全すぎるほど健全だ。疎利益率は製造業としては驚異的な数字と言ってよい60%を越えており、各事業部の売り上げも昨年同時期と比較して増えている。誰が見ても健全な会社と言って差し支えない。

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最終更新:5/22(月) 18:41
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