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「急性アルコール中毒」を治す薬はない!

ニュースイッチ 5/19(金) 10:55配信

救急病院が「春の訪れ」を感じる、酔っ払いの増加

 この季節になると、昔の記憶が鮮明によみがえってきます。

 私は40年くらい前、医学部1年の新入生歓迎コンパの席で日本酒の一気飲みをして救急病院にお世話になったことがあります。それまでお酒はほとんど飲んだことがなかったのに日本酒を冷ややっこの器で2杯飲みました。

 1杯目は死んだ気で飲みほしました。しばらくたって大分酔いが回ってきてから2杯目を飲みましたが、水のようにするすると飲めてしまい、「これはヤバい」と思いましたが後の祭りです。吐きすぎて吐くものもなくなり苦しいばかりで、やがて意識を失ったようです。

 気が付くと先輩たちの車で「呼吸がヤバいぞ!早くしろ!」という声をぼんやりと聴きながら救急病院へ運ばれました。病院へ着くと「おまえら胃洗浄見たことがあるか」「ありません」ということで親指ほどの太さのゴムチューブを口から胃袋まで突っ込まれ、「よし!」の合図で洗面器一杯分の水を注入されると突然に胃が膨らみ次の瞬間、口から大量の水が“噴き出る”ということを2回されました。

 飲みすぎてというより溺れ死ぬかと思いました。翌日は頭痛より胃痛で大変辛かったのを覚えています。

 春は入学、入社と新しいスタートの時期になりますが、その光景には桜の花が良く似合います。そして桜といえば、病院近くの代々木公園にはお花見の人が集まり大にぎわいとなります。さらにそこにつきものなのは歓迎会、お花見の会といったお酒の席です。

 救急病院で仕事をしていてもこの「春の訪れ」を体感できます。「急性アルコール中毒」での救急搬送が増加するのがこの時期です。楽しくて飲みすぎ、飲まされすぎの結果、嘔吐(おうと)、意識消失で動けなくなり救急車要請となります。

 以前に医学部の学生が新歓コンパで飲みすぎ、亡くなったことがあったと思います。私の経験では、酒の席で命にかかわる事態が起きたのは2人、まだ飲み始めてすぐのタイミングで、急性の心臓病が原因でした。

 せっかくの楽しいお酒も飲みすぎると悲惨です。本人も辛いでしょうが、皆さん吐いたものまみれ、失禁もしている方もいます。付き添ってきた方が酔っ払っていて大声を出すこともあり、病院は大変迷惑します。

 飲みすぎによる「急性アルコール中毒」を治す薬はありません。これから気候も良く、ビールもおいしい季節になります。飲み会を悲惨な思い出にしないため、そして自分の体のためにもお酒とはうまく付き合ってください。

内藤誠二(医療法人温光会内藤病院理事長)

最終更新:5/19(金) 10:55

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