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【ル・マン24時間】創業者豊田喜一郎から受け継がれる、トヨタのモータースポーツへの想い

motorsport.com 日本版 5/19(金) 20:28配信

 2016年6月19日、ル・マン24時間レース終盤、トップ走行のTOYOTA GAZOO Racing TS050 HYBRIDに搭乗していた中嶋一貴は「ノーパワー!」と悲痛な声を上げた。

【動画】2017年シーズンWECに向けたTOYOTA GAZOO Racingのプロモーションムービー

 昨年「WECタイトルよりも、ル・マン制覇を!」という意気込みでル・マン24時間レースでの勝利を誓ったトヨタ陣営。しかしその結末は、レース残り3分というところでマシントラブルを抱えた中嶋がメインストレートにマシンを停め、その横をポルシェが駆け抜けていくという、なんとも信じ難いものとなった。

 屈辱的な敗北の後、トヨタは“再び“リベンジを宣誓した。

モータースポーツとクルマ作り

  これまでトヨタは、草の根レースから世界選手権まで多くのカテゴリーのモータースポーツに取り組んできた。WECトヨタのハイブリッドプロジェクトリーダーとして指揮を執るGR開発部 部長の村田久武も、その一端を担っている。

 村田は部長として就任する際、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎の絶筆にあるモータースポーツへの想いを読み解いたというエピソードを明かした。豊田喜一郎の想いに共感した村田は、それを軸に“レースとは一体何のためにやるのか“という活動に対する意義を見出したという。

「喜一郎さんの絶筆は、歴史保存されていた方が発見されたものです。自分がこれを読んだ時に、心の底からその通りだと感動いたしました。”レースとは一体何のためにやるのか”という意義について、それを元に自分の言葉でそれを翻訳したんです」

 村田は、”オリンピックと同様、世界との競争の中で技術開発を促進し、市販車の進歩・進化に寄与する”というモータースポーツ活動の意義を打ち立てている。トヨタが誓うル・マン必勝は、トヨタ自動車のものづくりに対する想いから起因しているのだ。

 そして『トヨタよ、敗者のままでいいのか』というスローガンの下、メーカーの威信をかけて臨んだ2016年ル・マン24時間レース。昨年の敗北の後、村田は自分たちに足りなかったものを徹底的に突き詰めたと明らかにした。

「去年の敗北の後、何人もの人が“俺たちは全てをやりきったのか“というフレーズを口にしていました。一昨年(2015年)は惨敗に終わり、去年の自分たちも本当に一生懸命やったつもりでした。難しい技術ですとか、部品ですとか、そういったものに関して自分たちは、徹底的にチャレンジしていったんです」

「しかし、クルマ全体を見渡した時に“ズルくなってなかったか“と思い返しました。要するに主要な部品同士を繋ぎ合わせるパイプのような部品に妥協はなかったかとか、そこを取り付けたメカニックの確認であるとか、主要な部品のちょっとした製作の具合にもちゃんと目を配れていたか、というところです。だから去年みたいな結果になったのだと自分たちは大反省いたしました」

「今年すでに、ル・マンに向けてコンポーネントを出荷しました。しかし、自分たちは出荷したら終わりではありません。自分たちのゴールというのは、ル・マン24時間のゴールラインを先頭で駆け抜けるところを見届けることで、そこまでが自分たちの仕事です。ゴールまで“きちっとやりきったと言えるのか“という合言葉を元に、去年から(今年のル・マン24時間レースに向けて)スタートしました」

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最終更新:5/19(金) 20:28

motorsport.com 日本版