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齋藤飛鳥「MONDO GROSSO」客演の意義、2017年に起こったアシッドジャズ×アイドル

5/19(金) 20:19配信

MusicVoice

 乃木坂46の齋藤飛鳥がボーカルとして参加した、MONDO GROSSOの楽曲「惑星タントラ」のミュージックビデオが18日に公開となった。このなかで、齋藤はささやかな歌唱とクールな演技を披露している。やくしまるえつこが、作詞・大沢伸一共同プロデュースも担当した事でも話題のこの楽曲は、6月7日発売のアルバム『何度でも新しく生まれる』に収録される。本作は、MONDO GROSSOが初めて全編日本語ボーカル曲で構成したもので、満島ひかりやbirdの参加も発表されている。今回は齋藤が客演した事の意義について、短く解説したい。

 まず、齋藤がコラボレーションしたMONDO GROSSOは、1991年にバンドとして活動を開始。後に音楽家・大沢伸一のソロプロジェクトとなる。1993年には『MONDO GROSSO』でメジャーデビューを果たしている。彼らが頭角を現したのは、『渋谷系』と呼ばれる音楽ムーブメントの文脈の中にある<アシッドジャズ>というジャンルからであった。

 今、リバイバルだとも言われる『渋谷系』についてもごく簡単に確認したい。これは90年代に渋谷を中心として、音楽を始めとした様々なカルチャーが横断的に混ざり合って発生した、世界的にもユニークな文化運動である。

 音楽についてこのムーブメントを語る時は<渋谷周辺がレコードショップの乱立するレコードの街だった>という事も忘れてはならないだろう。フォーク、ソウル、ハウス、ジャズ、スカなど多種なジャンルがこの運動の渦中にあり、この運動を定義する事は現状かなり困難である。現在においては、限定的な音楽が『渋谷系』とカテゴライズされがちだ。これについては早急な整理が必要だろう。

 さて、話をMONDO GROSSOに戻したい。彼らの出発点である<アシッドジャズ>なる音楽は、UKのジャズから色濃い影響を受けたクラブ対応型の踊れる音楽である。いわゆるBGMとしてよく使用されるモダンジャズよりも、ハウスやラテン色が強く、現在の『クラブジャズ』と呼ばれるジャンルの源流に当たるものだ。さらに<アシッドジャズ>は昨今人気を博している、Suchmosも引き合いに出されて語られる音楽でもあり、今再注目されているものの1つなのかもしれない。

 そして、MONDO GROSSO(大沢伸一)は、これまでも積極的に女性シンガーとのコラボレーションをおこなってきた。客演した歌手は(プロデュース含め)、MONDAY満ちる、UA、Chara、birdなど数多い。この流れにアイドルである齋藤が参加するというのは、とても興味深いといえる。過去にも<アイドルが渋谷系やクラブジャズ風楽曲を歌う>という動向はあったかもしれない。しかし、今回起きたのは渋谷系・クラブジャズのアーティストとアイドルの直接的な繋がりだと言える。

 これは90年代には起こりえなかった事で、“今”だからできる交流だ。この様な面白い動向を味わえるのも現代を生きる我々の特権。こういう動きに注目して、音楽を聴くのもまた一興ではないだろうか。(文・小池直也)

最終更新:5/19(金) 20:19
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