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山田監督の立ち位置はどこに 「家族はつらいよ2」

カナロコ by 神奈川新聞 5/19(金) 14:24配信

 山田洋次監督以下「家族はつらいよ」のスタッフとキャストが再結集して、第2部が作られた。前作は平田周造(橋爪功)・富子(吉行和子)夫婦の熟年離婚がテーマだったが、はなから本気で離婚するとは思えず、予定調和の展開だった。

 「家族はつらいよ2」で、平田家の家族を悩ませるのは周造の免許返上問題。これは、離婚より現実味がある。その家族会議の日に予期せぬ大問題が発生。周造が家に泊めた高校時代の同級生、丸田(小林稔侍)が原因だった-。

 大騒動のあれこれは「寅さん」の再現で、笑いとペーソスの加減は相変わらずの職人芸。噴き出してしまうシーンが、いくつもある。が、肝心な部分が気になった。

 山田監督は無縁社会をテーマにしたという。発端は、周造が炎天下に警備員をしている丸田と再会したこと。高校時代は輝いていた丸田の姿に、周造はつぶやく。「いい年をして、あんな仕事をして…」

 その時、周造は小料理屋のおかみ(風吹ジュン)を車に乗せ、てんぷらを食べに行く途中だった。周造の妻は北欧旅行に出かけ、家族会議ではうな重の“上”を取り、周造は気軽に車を買い替えようとする。

 「富裕層」ではないかもしれないが、それなりに豊かな生活を送る周造が、無縁社会に沈む丸田に対して示すのは同情と哀れみ。そんな自らの優しさに酔っているような節がある。「あんな仕事」の真意が「あんな大変な仕事」だったにしても。

 「家族はつらいよ2」は、おそらくは山田監督の意図を超えて、格差社会の一端を見せる結果になった。初期の「下町の太陽」「馬鹿まるだし」から「男はつらいよ」「家族」など“持たざる人々”に寄り添ってきた山田監督。貧困がはびこる現代、立ち位置はずれていないか。

最終更新:5/19(金) 14:24

カナロコ by 神奈川新聞