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村田諒太の読書遍歴は?己の感情を知る3冊/連載

日刊スポーツ 5/19(金) 10:00配信

<世界の頂から頂へ4>

 村田諒太の連載「世界の頂から頂へ」の第4回は、「村田がいま読む3冊」から、世界初挑戦に向けた心境を探る。アスリートでも無類の読書家が、手にした本とは-。

【写真】健闘を誓い、言葉をかわす村田とエンダム

 村田に最近の読書遍歴を教えてほしいと聞くと、こう答えが返ってきた。

 「確かに、本の選択でどういう感情か分かるというのはある。どういうものを得たいのか、どういう気持ちになりたいかで選んでますね。実は最初から感動したいと思って選んでいるんですよね」

 まず1冊目。2月の沖縄キャンプの際に書店で手に取ったのは「失敗の本質-日本軍の組織論的研究」戸部良一他著。小池百合子東京都知事の座右の書として知られ、第2次世界大戦の日本軍の敗戦を考察する組織論だ。

 「世界戦で失敗したくないのがあったんでしょう。内容は失敗の原因は作戦がない、ピンチの時の対応がないという具体例の積み重ね。そのことは分かっているので、なかなか読み進まなくて(笑い)」

 2冊目は、伝説のボクサーもの。マイク・タイソンの自伝「真相」。知人に渡された本だったが、示唆に富んでいた。

 「トレーナーのカス・ダマトが『偉大なボクサーになるには考えることをやめる必要がある』と言うんです。どうしてもスパーリングや試合中にあれこれ考えるので、やめようと。あとはタイソンが失墜していくのは、結局はモチベーションをなくしたのが分かった。カスと一緒に喜びを分かち合いたかったけど、亡くなった後は、喜びを共有できる相手もいない。周りに機械みたく扱われて。自分はそうならないように」

 3冊目は、プロ転向後に、何度も立ち返ってきた1冊になる。ビクトール・フランクル「夜と霧」。第2次大戦下、ドイツ強制収容所の体験記録である哲学者の著書は、哲学書を読む父誠二さんの影響もあり、折に触れてきた。

 「『自分の人生に意味を問うのではなく、人生から与えられた課題にどう応えていくのか』ということが書かれている。つまり今できること、自分のできることに集中しろ、ということを言っていると解釈してます。世界戦への重圧も、他者との関係性の中でできる重圧ですよね。『五輪金メダリストだから勝たないと』とか。自分のできることは少ないし、そこまで責任を負う必要はない。心を楽にしてくれますね」【阿部健吾】

最終更新:5/19(金) 10:50

日刊スポーツ