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「名探偵コナン」劇場作品で一番面白いのってどれなの? 気合いの全21作レビュー&オススメベスト3!

ねとらぼ 5/20(土) 11:10配信

 毎年GW時期の恒例となっている「劇場版 名探偵コナン」作品。2017年で21作目を数え、最新作「から紅の恋歌」は興行収入50億円突破の大ヒットとなっています。

【ベスト1に選ばれた作品】

 でも、こんなにたくさんの劇場版コナン作品、結局どれがいちばん面白いの? っていうかそれぞれどんな話だったっけ?

 ここはファンに聞くしかない! ……というわけで、物心ついてからというもの「劇場版コナンは必ず公開初日に映画館で見る」というルールを己に課しているコナンファン・赤いシャムネコさんに、全21作の見どころとオススメを語ってもらいました!

●時計じかけの摩天楼

 次々に発生する爆弾事件と放火事件。コナンは犯人の狙いを突き止め、爆破を止めることができるのか――!? 劇場版1作目にしてコナン=爆発というイメージを作り上げた、オーソドックスな連続爆破事件です。コナンの映画版の犯人は、意味不明な動機で倫理観のかけらもなく豪快に建物とか壊しまくる人が多いんですけど、「時計じかけ」の犯人もトップクラスに狂っている動機です。「美意識系」と呼んでいるんですが、「お前の美意識でどんだけ爆破する気なんだよ!?」と聞きたくなりますね。

●14番目の標的(ターゲット)

 名前に数字がついている人物が次々と狙われる。ついに標的は、コナンの身近な人物にも……という話。殺人事件の演出が素晴らしく、胸にナイフを刺された死体が海中に漂っているシーンには「かっこいい! 漂いたい!」と思いました。コナンのトリックは現実的に実現不可能なものが多いのですが、本作に出てくる目薬のトリックはあまりにも実現が簡単そうなので、「良い子は絶対に試しちゃいけないぞ!」と震えました。1作目に引き続き、犯人の性格はそこそこ悪いです。

 とはいえ、実はこの話、視聴者には論理的に犯人が分からない仕組みになっています。ミステリとしてはアンフェアだなーと思った記憶があります。

●世紀末の魔術師

 怪盗キッドとロマノフ王朝の財宝をモチーフに、豪華客船に謎の古城と舞台が次々と移り変わる、エンタメ性のある作品です。ミステリとしてはそんなにハデなところはありませんが、劇場版ではオミットされがちな「少年探偵団の冒険もの」要素がふんだんに取り入れられています。

 好きなシーンはキッドが大量の鳩に包まれて消えるところ。めっちゃやりたい。あの鳩がどこから出てきたのかが本作一番の謎。

●瞳の中の暗殺者

 警視庁内部で連続殺人事件が発生。ついに佐藤刑事が撃たれ、その現場を目撃した蘭が記憶喪失に。執拗に狙われるようになった蘭をコナンは助けることはできるのか!? とにかくトーンが暗い! コナンの身近な人物がガチで命を狙われるし、警察の偉そうなおじさんたちが画面に出る率が高いので、徹底的に暗いお話になっています。

 でもミステリとしてはシリーズ中で一、二を争うほどよくできていて、「映像でしかできないトリックと伏線回収」が素晴らしいです。蘭の記憶がよみがえるシーンは、たとえていうなら「DEATH NOTE」における「計 画 通 り」に匹敵する名場面になっています。トリック単体だと大したことないんだけど、ストーリーにかみ合っているのが奇跡的ですね。

●天国へのカウントダウン

 黒の組織が劇場版に初登場。ツインタワービルで殺人事件が起こり、ビルが爆破され、犯人は黒の組織なのか?――という、黒の組織が登場してくることがミステリ的に意味がある唯一の作品じゃないでしょうか。最高傑作の1つです。

 犯人の動機はやっぱり美学系ですが、手掛かりの出し方がレベルが上がっていて、完成度がぐっと高くなっています。そして最後の爆破シーンがものすごく盛り上がりますね。

――ずっと気になっていたんですが、なんでコナンの劇場作品ってよく建物が爆破されるんですか?

 …………(3分間の沈黙)。基本爆破しますよね。倫理的にやばい殺人犯は出せないから、犯人のすごさを爆発の規模で示してるんじゃないですかね……。本作は哀ちゃんの「重力加速度9.80665メーターパーセックの二乗」というセリフがコナン史上に残る名言。「実際はそんな言い方しねーよ!」と突っ込みたくもなるんですが、みんな必死になって覚えてマネしてましたよね!

――みんなって、誰ですか?

 コナンファンみんなだよ!(怒)

●ベイカー街(ストリート)の亡霊

 仮想世界に入り込める次世代ゲーム機「コクーン」。その試遊会に集められた50人の子どもたち。ところがAI「ノアズアーク」によってコクーンが乗っ取られ、人々はゲーム内での死=現実の死になってしまう……。19世紀末のロンドンに飛ばされたコナンがジャックザリッパー発見のために奔走する一方で、現実世界では開発者が殺された事件の謎を工藤優作が解く、というやや複雑な構成。世間的には評価が高い作品です。

――次世代ゲーム機に閉じ込められるという話は、最近だと「ソードアート・オンライン」のイメージが強そうです。2002年公開時点ではかなり新しい発想だったと思うんですが、この作品のイメージ元ってどこなんでしょう?

 なんだろう……。「クリス・クロス 混沌の魔王」なんかもそういう話ですけどね。でも脚本の野沢尚さんはミステリも書いているけど、普段の作風とは違うので、確かに不思議です。本作はミステリ作家が書いたにしてはひどいところがあって、犯人の特定プロセスがないんです。ただ、本作は犯人が誰だか視聴者には最初から分かっているいわゆる「倒叙もの」なので、「視聴者には自明だし」とはしょったんだと思います。ジャックザリッパーの特定についてもけっこう雑です。ミステリというより冒険ものですね。

●迷宮の十字路(クロスロード)

 京都の町で起こる連続殺人事件……とともに進展したりしなかったりする平次&和葉の恋と、新一&蘭の恋! 劇場版コナンで唯一、過去回想ではなく現在で新一が出てくるお話です。ラブコメとしての完成度が高いのもあって、ファンの間では非常に評価が高い一作。

 これまでは「どうやって爆破するか?」だった劇場版コナンが、爆破を捨てて恋愛を中心に据えるという新しい試みをしています。そして犯人が強い(物理)。立て続けに起こす殺人の手際があまりにもすごく、さらに何度もコナンと平次の前に立ちふさがって殺そうとしてくる。犯人VS探偵(物理)を描いている珍しい作品です。

 実はこの作品、思い出補正が強くて、記憶の中ではめちゃくちゃ面白いんですけど、こないだ金曜ロードショーで見ていたら特にトリック面で「当時はインターネットがすごかったんだなあ(棒読み)」という気持ちになってしまいました。記憶の中の本作は最高傑作です。

●銀翼の奇術師(マジシャン)

 再び怪盗キッドもの。劇団に宝石を奪いに来る怪盗キッド! それを阻止するコナン! そのお礼で招かれた北海道への旅、機上で劇団女優が毒殺される。さらに飛行機がコントロール不可能に。飛行機を無事に着地させ、全員の生還を目指せ――というサスペンスものです。

 この作品のキズの1つは、殺人事件がどうでもよくなってしまうところ。なんのために機上で殺人事件が起こるかというと、「飛行機をコントロール不能にしてパニックものにしたい」という脚本上の要請としか思えないんですよね。前半がそこまで面白くないのですが、いざパニックになってからはもちろん爆発するし、管制塔とかぶっ壊すので面白くなってきます。

 ミステリファンはあまり話題にしませんが、ちゃんと本作にもミステリ的なポイントがあります。それは「滑走路」。全てが滑走路に集約されていて、しかも怪盗キッドものじゃなければ出てこないアイデアで解決される。ハデで楽しいです。

●水平線上の陰謀(ストラテジー)

 また久々に来ました倒叙もの! 豪華客船もので、なんと主役が小五郎のおっちゃん。はっきり言ってハデではなく、一見すると地味な話。公式キャッチコピーは「シリーズ初の二重(デュアル)サスペンス」なんですが、全ての真相を知ると「めっちゃキャッチコピーでネタバレしてるじゃん!」とびっくりします。

 開始5分で犯人の顔が映るし、手口も分かるのに、なお意外性があって、しかも探偵役がおっちゃん。うまくだまされると、この作品が一番驚きがあります。ミステリ好きな人には「この作品だけは絶対見ておけ!」と勧めています。

●探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)

 ……そんなに面白くない……。はしょっていいですか?

――すみません、もうちょっとコメントお願いします。

 ダメですか……。ええと、ポスターに「オールスター勢ぞろい」と書いてあって、死んだはずの松田なんかも出てきそうな雰囲気を出していますが、当然本編には出てきません。事件の規模は本当に小さくて、横浜をぐるぐる回っている映画です。

●紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)

 事件は面白そうで、トレジャーハンターがサメに襲われるんですけど……まあ……。

――渋い顔ですね。

 つまんないよね……。なんか、子供向けに振りすぎた結果、ミステリもアクションも中途半端になった感じですね。これ見るくらいだったら有栖川有栖の『孤島パズル』読んでください。

●戦慄の楽譜(フルスコア)

 これは意外に良作です! クラシック音楽界を舞台に、音楽家たちが次々と殺される正統派ミステリ。面白いのは、音楽家で命を狙われるオリジナルキャラの女性がコナンの「相方」的ポジションになります。こういうのは意外と珍しくて、「戦慄」以外では後作の「純黒の悪夢」くらいじゃないでしょうか。

 爆破ネタとしてもきっちりしていて、クライマックスの爆破がトリックと密接に関わったサスペンスになっています。「何が爆破のきっかけになるのか?」が分かると、ぐんとサスペンス度が上がります。あとはメインのネタじゃないんですけど、ダムに閉じ込められたコナンたちが電話を声でかけるシーンがあって、それは「マジかよ!」となるので最高に面白いですね。

――電話を声でかける……?

 ネタバレになるんで、見て確かめてください!

●漆黒の追跡者(チェイサー)

 定期的にやってくる「コナンの正体がバレた……!?」という黒の組織もの。ミステリとして雑なので個人的には面白いと思わなかったんですが、黒の組織と少年探偵団のアクションが繰り広げられるので、好きな人も多いです。黒の組織の一員「アイリッシュ」というオリジナルキャラがメインで出てきますが、ここでアイリッシュを出してみたからこそ、「純黒」でキュラソーをうまく描けたんだろうなと思います。

 本作で使われた要素は後作にも繰り返し出てきて、例えば「異次元の狙撃手」とは事件の構造が本当によく似ています。連続殺人で、殺人現場に謎めいたアイテムがおかれていて、象徴的な建物が舞台になる。「漆黒」では東京タワー、そして「異次元」ではスカイツリーです。

●天空の難破船(ロスト・シップ)

 大傑作です……(声を震わせながら)。シリーズの定石を全部外してくる、シリーズ作品ならではの傑作なんですよ。劇場版おなじみの「阿笠博士のクイズ」が最後の最後まで出てこないとか、エンディングの入り方とか、冒頭の「オレの名前は工藤新一」というあらすじ説明シーンに伏線を貼ってくるとかの細部はもちろん、大きなところだと「怪盗キッドものなのに、怪盗キッドの正体が比較的早い段階で明らかにされる」という驚きがあります。普通、キッドが出てくると、「キッドは誰に化けてるのか?」の謎を引っ張りますからね。

 キッドの正体が分かったあとは、話が次々と予想できない方向に転がっていきます。「この事件の謎ってなんなんだろう?」と視聴者が思いかけたところで、「なぜ犯人は化学研究所を爆破したのか?」というホワイダニットが浮かび上がり、その謎を解くと全てが解けていって、いきなりフーダニットの構造が立ち現れます。視聴者の予想の一歩先を行くような出来事が起こるので、テンポが良くて極めて面白い! しかもですね、冒頭を除いて意外に爆発が起こらないんですよ!

――(この人、いきなり早口になったな……)

 「空が舞台になる」「キッドもの」というと、ファンは空中戦を期待しますが、そこもうまくハズしてくるんですよね。天空の機上で事件が動きつつも、地上でも話が動いていく構成が素晴らしいです。あと裏話を言うと、この作品から小五郎の声優さんが神谷明さんから小山力也さんに交代しているので、ファンの反発を避けるためかおっちゃんのセリフがほぼないです。「いろいろ大変だったんだろうな」という気持ちにもなれる名作ですね。

●沈黙の15分(クォーター)

 見どころは最初の10分。疾走感が半端ではない。いきなり地下鉄が爆破されるシーンから始まり、普通だったらクライマックスに持ってくるようなアクションシーンを最初に詰め込む。最高潮までテンションを上げておいて……そこからひたすら地味なシーンが続きます。雪山のダムを舞台にしたお話です。久々に少年探偵団が活躍します。

 タイトルの「15分」が何を意味しているのかが1つの謎になりますが、大体の人が半分くらいで「あっこうなるんだろうな」と気付き、実際その通りのクライマックスに突入します。本作と似たような構図になっているのが「絶海の探偵」と「業火の向日葵」。特に「絶海」は非常に呼応しているので、まとめて見ると面白いかもしれません。

●11人目のストライカー

 久々に来ました連続爆破事件! 1作目に次ぐ連続爆破っぷり。サッカースタジアムが次々に爆破されていき、爆破予告が暗号で届く。コナンは暗号を解いて、爆破を阻止できるのか!?――というストーリーですが、見どころは実在のサッカー選手が声を当てていて、信じられないくらい棒読みなところですね。しかも肝心なシーンでその棒読みが何度もリフレインする。それだけでも笑いが止まらないのに、クライマックスでは顔まで再生される。超楽しかったですね。

 「サッカー選手を絡めながら、クライマックスまでつなげなきゃいけない」という状態で、よくがんばったよねと褒めてあげたい作品です。ファンからの評価は低めですが、案外構成は正統派で、珍しく物理的なトリックがしっかり出てきますし、犯人の意外性も狙っている。ちゃんとクライマックスも盛り上がるように作られていて、「王道のコナン映画だな」という気がします。爆発が見たい人も楽しめるんじゃないですかね。

 ちなみに、劇場作品のタイトルには漢字にかっこいいルビがつきものですが、本作には「ストライカー」に「Striker」ってルビが振ってあるんですよ。だから、本作の正式なタイトルは「11人目のStriker(※編集注:英語読みしてください)」なんです。

●絶海の探偵(プライベート・アイ)

 なんとイージス艦が舞台。イージス艦が舞台なので、当然ですが爆破できません。「いーじすかんは すごいんだぞ!」というのをアピールする映画です。イージス艦に潜り込んだ某国のスパイを特定する硬派な内容ですが、ミステリとアクションパートが全然連動してない。クライマックスはやっぱり爆破できないので、「沈黙」と同様の「爆破じゃないクライマックス」を作っていきます。いちばん面白いのは、タイトルの「探偵」が示す相手がコナンではなく、ひとひねりあるところですね。

●異次元の狙撃手(スナイパー)

 正統派かつ、より面白くした「漆黒」。初めてのFBIメインの作品で、「超長距離からの狙撃」という魅力的な犯人によってコナンの身近な人物も巻き込まれていきます。

 「異次元」がすごいのは、とある人物に関する大ネタを、原作よりも先に明かしたこと。青山剛昌先生がしっかり関わっている劇場版コナンシリーズだからこそできる仕掛けでした。その大ネタの趣向ありきで、「これをやるんだったらこの事件や犯人が必要」という逆算で構成されている。非常によく練られていますね。連続殺人もテンポよく起こるので見ていて飽きないですし、珍しくコナンが事件の阻止に何度も失敗する。久々に「強い犯人」VS探偵という構図ができています。

 「漆黒」の項でもお話ししたように、本作ではスカイツリーが早速壊されています。「コナンって、新しい建物が出てくるとすぐ爆破するよなー」と思いました。あと、コナンくんによる打ち上げ花火は劇場版きっての名シーンです。

●業火の向日葵

 ……これはですねー、オープニングまでは最高に面白いです。

――「まで」。

 はい。見どころは、コナン史上最も理解ができず、視聴者おいてけぼりの犯人の動機です。歴代犯人の中で一番頭が悪いのではないか。僕は犯人に「CiNii(論文検索データベース)とか使えよ……」と言いたいですし、「大学での教養って大事なんだなあ(棒読み)」と思います。

 本作はタイトル通り向日葵がモチーフになっていて、そろそろ爆破する舞台がなくなったので、オリジナルの変な美術館が登場します。この美術館、見るからに「爆破するために作った美術館だ!」と思わせられる構造をしていて、もちろん爆発します。オリジナルの舞台を採用した弊害は意外なところに出ていて、劇場版コナンは「エンドロールに舞台となっている場所の実際の風景を流す」という通例があるのですが、ないものは映せないのでひたすら向日葵畑をあらゆるアングルで映す。でも尺が足りなくなったので、今度はインスタっぽいフィルターをかけてさらに向日葵畑を流す。この向日葵ラッシュは一見の価値ありです。

●純黒の悪夢(ナイトメア)

 黒の組織の一員・キュラソーをメインに、黒の組織とFBIの思惑が入り乱れるサスペンスアクション。20作目、ついにコナンがミステリをやめました。「アクションだけのコナンってみんな見たかったよね!」と言わんばかりの、出だしからアクション、カーチェイス、クラッシュ、記憶喪失! クライマックスもアクションシーンが出し惜しみなく連発されます。

 本作は、後半ひたすら観覧車を舞台に話が進む異常な構成で、多分これを超えてくる「観覧車もの」はないんじゃないですかね。観覧車ものというと「ああ、観覧車の中に閉じ込められるんだな」と思うところですが、まさか観覧車のフレームの上を飛んだり跳ねたりして戦うとは……。なんで戦ってるんだよ……。「ダブルホイールの観覧車」という設定が絶妙で、「建物1つをいかに破壊するか」に全力を注いできたコナンチームの集大成だと思います。

――本作は一部の層に熱烈に支持されており、大人女子層でのコナン再燃を引き起こした作品ですが、そういった点から見ると本作はどうでしょうか?

 「なんかすごい人気だな」と思い、2人に注目して見返してみましたが、どうしても「今戦い合ってる状況!? 戦う場所ももっと平地でやって!」と言いたくなっちゃいましたね。でも、追いかけるべき敵じゃなくて、今目の前にいる相手を見てしまう……というのが人気なんでしょうね。黒の組織も嫉妬するね……。

●から紅の恋歌(ラブレター)

 最新作です。傑作でしょう! 百人一首をめぐる殺人事件を解決する平次&コナンの「男の戦い」と、平次をめぐる和葉VSゲストキャラ大岡紅葉の「女の戦い」が交差する構成で、複雑なことをやっている割に、あまり大きな破綻がない。何度も事件の構図をひっくり返そうという意欲を感じます。

 そして本作は、完全に平次が主人公ですね。「迷宮」も平次が主人公ではあるのですが、一応平次の恋愛と新一の恋愛が重なる構図になっていた。でも今回はほぼ平次単独! メタなことを言えば、「これであと数年、平次メインの劇場作品はないだろうな……」と思ってしまいましたが。

 さて、コナンはミステリ的なところに力を入れるとアクションがおろそかになりがちなんですが、両者が高いレベルで実現できていて、バランスが取れています。ミステリ要素は、ここ数年ミステリ業界でよく見るパターンのホワイダニットになっていて、「ついにコナンも今時のミステリに接続してしまったか……!」と複雑な気持ちに。一方アクションは基本的に「高い場所からどうやって飛距離を稼いで脱出するか?」ということを繰り返しやっているのですが、平次は人間らしい力技で解決する一方、コナンは「そんなのあり? 目、回らない?」という恐ろしい方法で解決していて、2人の対比ができていてよかったです。

 シリーズファンとしては、過去作品を思い起こさせる要素が多いのが特徴的です。平次たちがメインで京都を舞台にしているのは「迷宮」だし、高い場所からの脱出は「天国」。事件現場に残された意味ありげなアイテムは「14番目」ですね。過去作品の要素をほのめかしつつ、まったく新しい手法や意味を出してくる、集大成的な作品ではないでしょうか。

●結局、何が一番面白いんですか?

――全21作について語っていただきました。ここでやっぱり聞いておきたい……結局、何が一番面白いんですか?

 ごく個人的なランキングを発表させてもらいます。1位「天空の難破船」、2位「天国へのカウントダウン」、そして3位が「から紅の恋歌」。

――その心は?

 「天空」は、やっぱりミステリやエンタメ作品としての面白さと、「コナン作品のキャラクターでしかできない話である」という点で、めちゃくちゃ評価が高いです。点数をつけるとしたら満点。やや変化球な作品ではあるんですが……!

 「天国」「から紅」は、コナンとしてのエピソードやキャラクターの良さが、ミステリ要素や爆破エンターテインメントとマッチしていて完成度が高いのが推せます。もし「劇場版コナンをあんまり見たことないけど、1作見てみたいな」という人がいたら、爆破の醍醐味が味わえる「天国」をオススメします。

――ありがとうございます。最後に、この記事を読んだコナンファンにメッセージをお願いします。

 コナン映画は初見微妙だなと思ったものでも、もう1回見ると意外な目線から面白さが発見されたりするので、つまらない記憶が残っている作品でもぜひ見返してみることをオススメします!

最終更新:5/20(土) 16:07

ねとらぼ