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1万円台の完全ワイヤレスイヤフォン「Beat-in」は小ささが魅力

アスキー 5/20(土) 12:00配信

価格は激戦区にあたる製品ですが、ほかとの違いやよさはどこにあるのか試してみました。

 新興メーカー目白押しのトゥルーワイヤレスイヤフォンに、また新しいブランド「Beat-in」が登場。モバイル端末向けペリフェラルの輸入販売をするロア・インターナショナルが扱うブランドで「Beat-in Stick」と「Beat-in Power Bank」の2機種をラインナップする。
 
 カナル型のイヤフォン本体は共通で、直径13.9mm、長さ21mm、重さは片側4.4gというミニマルサイズ。イヤフォンと再生機器側との接続はBluetooth 4.1で、音声コーデックはSBCとAACに対応する。マイクを内蔵し、ヘッドセットとしても機能する。デザインは左右共通で「Beat-in mono」として単体販売があるのもおもしろい。
 
 StickとPower Bankの違いは、イヤフォンを充電するバッテリー内蔵ケース。Stickは250mAhバッテリー内蔵のリップスティック型。Power Bankは、容量が2100mAhあるのでイヤフォンの充電だけでなく、モバイルバッテリーとしても使える。
 
 ケースやイヤフォンの金属部分はアルマイト加工され、シルバー、ゴールド、ローズゴールド、スペースグレーの4色展開となる。使い勝手の面でケースの違いはかなり大きいので、まずケースから見ていこう。
 
バッテリー周りが気になるBeat-in Stick
 Beat-in Stickのケースは、両端にイヤフォン充電用の接点があり、ケース側のマグネットに吸着する形でイヤフォンを収納する。イヤフォン側の接点は、外周の金属パーツとノズル内のメッシュフィルターが兼用する。このためイヤフォンを頭からケースへ突っ込む格好になる。
 
 このケースは分割式で、中にmicroUSB端子が付いている。ここにケーブルを接続して内蔵バッテリーを充電するが、分割部もマグネット吸着式だ。おかげでケース全体の磁力はかなりのもので、ケースとイヤフォンを机の上に置いておくと、するするとイヤフォンが引き寄せられていくほど。
 
 Stickのケースは、USBケーブルを接続するために分割しなければならない構造で、ケースに給電している間はイヤフォンの充電ができない。ここが、使い勝手の点で、少々気になるところ。
 
 ケースのフルチャージまでに1時間半、イヤフォン本体の充電には1時間半。フルチャージされたイヤフォンは、最大約3時間音楽を再生でき、ケースでのイヤフォン充電は1回できる。ちょっとややこしいが、再生時間は結局計6時間ということになる。
 
 これで一日使うのには十分だが、もしケース、イヤフォンともにバッテリーが空になると、ケースを充電してから、イヤフォンを充電して……ということになり、3時間はなにもできない。もう少しルーズに使いたい、バッテリーに余裕が欲しいというニーズには、次のPower Bankが応える。
 
イヤフォン15回充電できるBeat-in Power Bank
 Beat-in Power Bankのケースも、イヤフォンとの接合はマグネット式。イヤフォン収納時は、ケースのスリーブにカバーされて脱落を防ぎ、取り出す際はケースの底を押し上げるとスリーブがスライドして、イヤフォンがにゅっと出てくる。
 
 このケースには、外部出力用のUSB端子も付いている。バッテリー容量が大きいのでフルチャージに2時間半を要するが、イヤフォンを15回フルチャージする余裕がある。
 
安定した定位と少ない信号のドロップ
 さて、イヤフォン本体に戻ろう。2つともまったく同じものなので、物理的に左右の区別はつかない。しかし、ペアリングした後に区別できる。イヤフォン側面のLEDが赤青に点滅するのがスマートフォンと接続するプライマリー側で、左チャンネルになる。装着したままペアリング操作する場合は、音声で「レフトチャンネル」「ライトチャンネル」とそれぞれのユニットが自己申告するので、それで確認もできる。
 
 音質に関しては、まずトゥルーワイヤレスに特有の、左右チャンネルの位相差から音像が左右に揺れ動く現象は、ほとんど感じられなかった。Bluetoothゆえ、たまに音が途切れる現象は避けようがないものの、これも頻発してイライラさせられるようなことはなかった。より価格の高い製品でも不満に感じるものが多いので、優秀と言える。
 
 ただし、音声遅延はあるのでゲームには向かない。動画再生時の音声のズレも、最近の機種としては少々大きい。映画なら俳優の口元がアップにならない限り違和感はないが、ミュージックビデオは奏者のアクションと音のズレがはっきりわかる。それでも動画を観て演奏をコピーしようというのでなければ耐えられる程度ではある。もちろん音楽だけの再生ならなんの支障もない。
 
 音質はよく言えば、おかしな強調のない自然なバランス。具体的に言うなら、普及価格帯のオープンエア型イヤフォンをイメージしてもらうと、おそらくそのバランスに近い。レンジは広くないし、装着した瞬間、ほかとの違いに耳を奪われるようなものでもない。
 
 しかし、小さいサイズのカナル型というと、大した情報量もないのに低域の音圧ばかり高くて疲れてしまうものが多いなか、妙な色付けでアピールしようとしていないので、割り切って付き合えるタイプの音ではある。本体の軽さも相まって、カジュアルな用途には十分応えてくれるはず。
 
問題はStickかPower Bankか
 トゥルーワイヤレスイヤフォンも価格競争のフェーズに入ってきて、コストパフォーマンスが問われるようになってきたが、チャンネル間の位相差が解決できていない製品で、帯域特性のようなものを云々しても虚しい。そんな中、ステレオの定位が安定しているという点で、この製品には価格なりの価値が十分にある。
 
 悩みどころはStickかPower Bankか。Stickはデザインと携帯性で優れるが、バッテリーに気を使わなければならない。Power Bankはバッテリーに余裕がある代わりに価格がちょっと高い。
 
 そして低価格化が進んだおかげで、1万円台後半は激戦区になりつつあり、ほかのトゥルーワイヤレスイヤフォンがいくつも視野に入ってくる。しかし、この価格帯の他機種は、どれもBeat-inに比べてエンクロージャーが大きく、少々野暮ったい。エンクロージャーが小さく目立たないこと。これはBeat-inにしかない良さだ。
 
 レビューした両機種はe☆イヤホン各店舗で試聴できるので、興味がある人は試してほしい。
 
 
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
 
 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ
 
文● 四本淑三

最終更新:5/20(土) 12:00

アスキー