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<蹴鞠>宮中貴族のごとく「ヤア」東京の稽古場にかけ声響く

毎日新聞 5/20(土) 10:27配信

 ◇京都の「蹴鞠保存会」開設、月1回の稽古続ける

 かつて宮中貴族の間で盛んだった蹴鞠(けまり)の文化を引き継ぐ「蹴鞠(しゅうきく)保存会」(京都市)が、6年前に東京に稽古(けいこ)場を開設し、月1回の稽古を続けている。保存会は京都を主な拠点に活動しており、東京都の稽古場は首都圏の愛好家にとって大切な鍛錬の場となっている。勝敗はなく、会員は「『優雅な遊び』という感じが楽しい」と話す。

 「アリ」「ヤア」「オウ」--。4月の平日の夜、東京都千代田区の「神田さくら館」の体育館で独特のかけ声が響き渡った。メンバーが身につけているのは白衣、はかまと、専用の履物である「鴨沓(かもぐつ)」。円形に切った鹿の皮を馬の背革で縫い合わせた鞠(直径約20センチ、重さ約110グラム)を蹴り上げる。

 保存会は、蹴鞠を文化として保存することを望んだ明治天皇の「下賜金」により、1907(明治40)年に発足した。現在の会員は関西を中心に20~90代の38人。平均年齢は56歳。30年ほど前からは、京都市上京区の白峯(しらみね)神宮で定期的に稽古を続けている。

 首都圏在住のメンバーも7人いるため、2011年1月から東京でも定期的な稽古を始めた。月1回、神田さくら館に会員が集まり、稽古をしている。会員の職業は大学の助教や博物館の学芸員など。京都から古参会員が指導に来ることもある。

 蹴鞠は勝敗のない球戯で、一つの鞠を地面に落とさないよう、できるだけ長く蹴り続けるのが技の見せどころ。一般公開される行事では、30回も続くと見物者から歓声が沸くという。東京都中野区の会員、高野健次さん(69)は「30回近くになると自分でストップさせたくないと思い、そわそわしてくる。鞠と遊んでいる感覚が楽しい」と話す。保存会の上田恒弘理事長(71)は「東京には指導役をできる会員が少ないが、今後も規模に見合った範囲でやっていきたい」と話している。【後藤豪】

 ◇蹴鞠

 約1400年前に中国から伝わったとされる。宮中貴族の遊戯だったが、中世以降は武士や庶民にも普及した。正式には8人で行う。京都市左京区の下鴨神社で1月にある「蹴鞠初め」をはじめ、保存会の蹴鞠が各地で公開されている。

最終更新:5/20(土) 14:48

毎日新聞