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高機能、デザイン性評価 工夫凝らし理想の住宅追求 「聴竹居」重文指定へ 群馬

産経新聞 5/20(土) 7:55配信

 国の文化審議会が19日、重要文化財に指定するよう松野博一文部科学相に答申した「聴竹居(ちょうちくきょ)」=大山崎町。約90年前、京都帝国大学教授の藤井厚二が自らの工学的理論をもとに自邸として建てたもので、高い機能性と斬新なデザイン性が評価された。近く指定される見込みで、府内で重文に指定された建造物は計298件、651棟になる。

 聴竹居は、天王山中腹に昭和3年に建てられた本屋(ほんや)(宅)と、落ち着きのあるたたずまいを楽しむ閑室(かんしつ)、同8年完成の茶室の3棟で構成。現在は、藤井が東京帝国大学を卒業した大正2年から6年間勤務した竹中工務店が所有する。

 藤井は自らの自宅を“実験台”にして理想の住宅を追求し、5回目の自宅の聴竹居を完成形とした。建築環境工学を専攻する藤井ならではの工夫と、和洋をバランスよく調和させたデザインがちりばめられている。

 本屋の中心になる居室は板の間と畳の間が同居し、現在のリビングの原型ともいえる。2つの間の仕切りに約30センチの段差を設け、低い板の間で椅子に腰掛ける人と高い畳に座る人の目線を合わす工夫を凝らす。

 また、居室と食事室の仕切りにカーブした木枠を使うほか、東側の眺望を楽しめるように大枠の窓を設けた縁側や、椅子式の板の間ながら床を設けて和風も楽しめる客室なども。

 竹中工務店の松隈章・設計企画部副部長は「和と洋がここまで混在すると全体的にデザインは破綻するものだが、すべてがほどよく調和している。藤井の趣味の良さが光る」と説明する。

 さらに、部屋を締め切っても新鮮な外気を取り込めるような仕組みもある。

 重文指定の近代住宅というと明治時代が多く、以降では大正~昭和に建てられた碧雲荘(へきうんそう)=京都市左京区=などに限られ、珍しい。

 府教委は聴竹居について「日本の風土や日本人の感性に適合した理想的な住宅を追求し、完成させた。工学的理論に基づき設計された木造モダニズム住宅の先駆的存在として、住宅史・建築史上高い価値が認められる」と評価した。

最終更新:5/20(土) 7:55

産経新聞