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「なぜ」問い続け20年=神戸児童殺傷、土師君の父―「悲劇繰り返さない」

時事通信 5/20(土) 15:07配信

 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件で、土師淳君=当時(11)=が命を奪われてから24日で20年になるのを前に、父親の守さん(61)が取材に応じた。

遺族手記、台湾で出版へ=命日前に-神戸連続児童殺傷20年

 守さんは「あっという間だった。事件の真相を知ろうと、『なぜ』と問い続けてきた」と振り返り、「大事なのは事件をどう生かすかを考えること」と訴えた。

 当時14歳だった加害男性(34)からは毎年、命日を前に手紙が届く。守さんは「なぜ子どもが命を奪われなければならなかったのか」と疑問を持ち続け、手紙から男性の考えを理解しようと努めてきた。「読むのはつらいが、真実に近づけるかもしれない」との思いからだったが、男性は遺族に無断で2015年に手記を出版した。

 「これまでの努力は無駄だった。結局、真相は闇の中になってしまった」。出版後は手紙の受け取りを拒否。男性は昨年、代理人弁護士を通じて印税の一部で賠償金を支払いたいと申し出たが、断った。守さんは「印税は遺族をさらに苦しめてもうけた汚いお金だ」と憤り、「彼とはもう関わりたくない」と話す。

 事件から20年になり、職場で守さんを被害者の遺族と知る人は少なくなった。事件の風化を感じることもあるが、「子どもへの思いは何年たっても変わらない」。成人した姿を想像できず、淳君が笑ったり泣いたりしていた姿を今も思い出す。

 守さんは「風化は仕方がない」としながらも、「事件をどう生かすか。二度と悲劇が繰り返されないように、行政などが対策を考えて実行してほしい」と訴える。

 純真で優しい子だったという淳君に伝えたいことを尋ねると、守さんは「家族は助け合いながら生きています」と静かに話した。 

最終更新:5/20(土) 16:28

時事通信