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「日本は怠慢」厳しい視線 国連加盟94%が条約締結

産経新聞 5/20(土) 7:55配信

 国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は187カ国・地域が締結し、国連加盟国の94%にあたる。3年後に東京五輪・パラリンピックを控えた日本にとって締結は急務であり、そのために「テロ等準備罪」の新設が必要だ。現状を放置すれば、テロなどに対峙(たいじ)する国際協力の枠組みで日本が抜け穴になりかねない。

 条約では締結に際し、各国にテロ等準備罪などの「合意罪」や「参加罪」を求めている。この法整備をせず、条約を締結していない国連加盟国は、日本のほかに10カ国しかない。

 イラン、ソマリア、南スーダン、コンゴ共和国、ブータン、パプアニューギニア、パラオ、ソロモン諸島、フィジー、ツバル-。民進党の小西洋之参院議員は4月、ツイッターで「成立すると本気で国外亡命を考えなければならなくなる」と投稿したが、亡命先はこれらの国に限られる。

 日本は先進7カ国(G7)の一員で、国連安全保障理事会の非常任理事国として国際社会でテロ対策をリードすべき立場にある。「未締結の国は他にもある」は言い訳にならない。

 「法整備がなぜ遅れているか、各国の大使から照会を受けることがあったが、私がいくら説明しても理解されなかった」

 4月25日の衆院法務委員会の参考人質疑で、元在ウィーン国際機関日本政府代表部大使の小沢俊朗氏は、こう訴えた。締結国会議で小沢氏は非正規メンバーとして「イランなどとともに一番後ろの席に座らされた」という。民進党は「五輪に便乗している」と政府を批判するが、日本の“怠慢”には以前から厳しい視線が注がれてきた。

 政府間機関「金融活動作業部会(FATF)」は2014(平成26)年6月の声明で日本を名指しし、「テロ資金対策の不備がある」と懸念を示した。国連安保理も同年12月のテロ対策強化に関する決議で、各国に締結を求めた。

 野党は「現行法でも締結できる」と主張した。かつて米国がテロ支援国家に指定した北朝鮮も締結できたように、厳密な審査があるわけではない。しかし、責任ある国家が「法整備が不十分でも締結しよう」というわけにはいかない。

 世界各地でテロが起き、日本人も犠牲になっている。このまま東京五輪を迎えるようでは、日本はテロリストや犯罪組織のターゲットになるのではないか。犯罪者が駆け込む「テロ天国」は御免だ。 (田中一世)

最終更新:5/20(土) 8:19

産経新聞