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世界遺産が教室だ…京都の学生が観光・地域振興学ぶ

産経新聞 5/20(土) 14:24配信

 ■地域と協力 課題解決へ

 世界遺産がキャンパスに-。数多くの寺社や大学が集まる京都で、世界遺産を研究対象や現場として活用し、大学の単位が得られる授業が展開されている。「清水寺×立命館大学」「二条城×同志社大学」など京都ならではの組み合わせで科目を設定。学生が自主的に授業を準備し、学習していく「PBL」という手法を取り入れており、参加した学生は、本物の世界遺産に触れながら、地域活性化への課題解決や情報発信などを学んでいる。

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 授業は、大学などの連携組織「公益財団法人・大学コンソーシアム京都」が実施している「京都世界遺産PBL科目」。世界遺産が多い京都の特性を生かして学生に学んでもらおうと平成27年度から始めた。

 今年度の科目を実施している施設は、京都市内の清水寺(東山区)▽二条城(中京区)▽仁和寺(右京区)▽上賀茂神社(北区)▽醍醐寺(伏見区)-と、比叡山延暦寺(大津市)の6つ。いずれも「古都京都の文化財」として世界遺産に認定されている。

 一方、授業を担当するのは、立命館大▽同志社大▽京都産業大▽京都文教大▽龍谷大▽京都橘大-の6大学で、計8科目が設定されている。

 このうち、同志社大が二条城で行う授業では、マーケティングの手法を用い、特産品や観光名所のPRだけでなく地域を視野に入れた新しいプロモーション方法を考案する。また、上賀茂神社と京産大の授業では、神社関係者、周辺地域に対するヒアリングなどを行い、広報展開や行事を提案し、実施することを目指している。

 龍谷大3年、徳田舞美さん(20)は昨年度、醍醐寺での授業に参加した。夏季休暇中に1泊2日で醍醐寺に泊まり込んで僧侶らと課題について話し合うなどし、僧侶や地域住民が交流できるカフェの運営などを実現。「僧侶の方は本気で学生に向き合ってくれた。醍醐寺のファンになりました」と話す。

 大学コンソーシアム京都では、加盟約50大学(短大含む)の間で、ほかの大学で修得した単位を自分の大学の単位にできる「単位互換制度」を採用。京都世界遺産PBL科目に関してもこの仕組みを使い、科目を設定した6大学に在籍していない加盟大学の学生が受講した場合でも、それぞれが通う大学の単位にできるという。

 醍醐寺での授業を担当する龍谷大の笠井賢紀准教授(34)は「授業を通して、寺が単なる観光地ではなく、より特別な場所に変化する」と授業の意義を強調。醍醐寺の仲田順英総務部長(53)は「学生と僧侶、地域など多くのつながりが構築されてきている。長い歴史の中で人々が受け継いできた文化を、少しでも学生に感じてほしい」と期待を込めている。

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【用語解説】京都世界遺産PBL科目

 「PBL」は「Project Based Learning」の略で、学生自らが課題を発見し解決策を提案する能動的学習を指す。今年度は6大学が授業を行うが、単位互換制度のもとで実施されており、京都以外の学生も履修可能。過去には早稲田大の学生も授業を受けたことがあるという。

最終更新:5/20(土) 19:25

産経新聞