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《ブラジル》東旺=豚骨ラーメンで真剣勝負=“伯国場所”で目指す金星=試験開店、日独で5年修行

5/20(土) 6:07配信

ニッケイ新聞

 現役時代「東旺(あずまおう)」として幕下力士にまでなった森田泰人マルシオさん(39、二世)。引退後に第二の人生の舞台として選んだのはラーメン業界だった。日本の有名店で3年、ドイツでも2年修行して経験を積み、当地にラーメンブームを起こったのを見て、満を持して試験販売を始めた。相撲部屋のちゃんこ作りで鍛えた腕前にさらに磨きがかけ、サンパウロ市ラーメン戦争に乱入する勢いだ。

 森田さんはサンパウロ市で生まれ、16歳で玉ノ井部屋に入門。後の大関・栃東らと共に厳しい稽古を重ね、04年夏場所では三段目で全勝優勝を果たし、26歳で幕下に昇った。だが翌年「今までのケガやこれからの人生について考えた末」に引退を決意。12年間の力士人生に終止符を打った。
 ラーメンに興味を持ったきっかけは、「九州場所で食べた豚骨ラーメンの美味しさが衝撃的だった」から。運命の出会いの後、東京でも食べ歩いて人気豚骨ラーメン店『ばりこて』の虜に。

 引退後の一時帰伯中に同店での住み込み修行の約束を取り付け、再訪日後には朝10時から夜中の2時までの修行の日々を送った。力士時代に培った「厳しい稽古にも負けない強い忍耐力が役立った」という。
 「舌の肥えた先輩達に出すちゃんこ作りも大変なもの」で、稽古後の短時間で大量に準備せねばならず、何か手抜かりがあれば激しい叱責が飛ぶ。料理人としての基礎は身についていた。
 3年間で本格的なラーメン作りの技術、切り盛りの仕方など店を営むのに必要な技術を身に付けた。伯国でラーメン店経営を夢見ていたがグッとこらえた。「まずは外国人向けのラーメンとは何かを知るべき」と考え、ドイツのデュッセルドルフのラーメン屋「匠」でさらに2年働いた。
 帰伯後、森田さんの志を理解して協力を申し出る人の中に、レストラン『エスパッソ和』やラーメン専門店『ラーメン和』経営を行う和グループ支配人の長谷川洋二さんがいた。同氏は「日本食普及で社会貢献することがグループの使命。将来、手強いライバルになるかもしれないが、本物のラーメンを紹介できる彼は応援に値する」と支援表明。今回、試験開店の機会が与えられた。
 リベルダーデ区の日本食レストラン『エスパッソ和』(トマス・ゴンザーガ街84番)の二階、うどん専門店『メウ・ウドン』を借り、火~金曜日の11時半~15時半、18時~22時半の間、豚骨ラーメン(32レアル)が6月末まで試験販売される。いわば“伯国場所”で待ったなしの真剣勝負だ。
 森田式豚骨ラーメンは日本仕込み。豚骨を15時間煮込んで基礎となるスープを作り、減った分を継ぎ足していく形で濃厚さを生み出していく「呼び戻し」技法を使う。半熟煮玉子は地鶏で、チャーシューも柔らかく仕上げている。
 森田さんは「長年の修行で身につけた自分の全てが込められている。ぜひ食べて欲しい」とその思いを語る。将来の店舗開設に向け、出資協力者も探しており「ぜひ協力を」と呼びかけた。




大耳小耳
     ◎
 森田さんのこだわり豚骨ラーメン。豚骨の本場・博多ラーメンはプツッと切れる極細麺が特徴だが、今回は使われていない。「ゆっくりと食事をする伯人の食文化の中では伸びて美味しくなくなってしまう」などの理由で見送ったとか。森田さんのおススメは、『マー油』(5レ)を使った食べ方。焦がしニンニクの風味が利いた真っ黒な油を、ラーメンを半分ほど食べたところに入れる。「風味が変わって違った美味しさ」が楽しめる。ほかにもサイドメニューのチャーシュー丼にも注目。小ぶりの茶碗に半熟煮卵とマー油を和えた香ばしいチャーシューが乗ってたったの10レアル! ぜひお試しを。

最終更新:5/20(土) 6:07
ニッケイ新聞