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米抜き「TPP11」、あすハノイで閣僚会合 足並み揃うか、それとも分裂か

日刊工業新聞電子版 5/20(土) 14:54配信

ベトナム・マレーシアが難色

 ベトナム・ハノイで20、21日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易大臣会合に合わせ、米国を除く環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国「TPP11」が現地で閣僚会合を開く。TPP11にとっては今回の閣僚会合で「11月のAPEC首脳会議までに大筋合意」で一致できるかが焦点となる。トランプ政権誕生でTPPではなく、2国間協定を志向する米国の動きもにらみ、各国の思惑が交錯する。(大城麻木乃、編集委員・鈴木真央)

 「まずは11カ国が結束を維持することが重要だ」。外務省幹部は閣僚会合で望む成果として、最低でも11カ国が足並みをそろえることを強調する。米国抜きのTPPをめぐっては、米国市場への輸出拡大によるメリットをテコに国内を説得したベトナムやマレーシアが難色を示している。他の国もそれぞれの国内事情を抱え、一筋縄ではいかない。

 各国の立場の違いについては5月上旬の首席交渉官会合で「率直に意見を交わした」(日本の交渉関係者)。この差異を踏まえつつ、「(今回の閣僚会合で)方向性を打ち出せないとバラバラになるとの思いを共有している」(同)という。

 ルールや発効条件の見直しに踏み込むと、年内の大筋合意は「およそ現実的ではなくなる」(政府関係者)。関税などの面でレベルが下がれば、「米国の復帰がなくなる」(同)恐れがある。最も重要なことはバイ(二国間)交渉を志向するトランプ米大統領に対し、「自由貿易のルールはマルチ(多国間・複数国間)で決める」(日本の交渉関係者)と強いメッセージを送ることだ。

参加国減も、交渉前進に意味

 TPP11では日本が最大のGDP(国内総生産)を有する。巨大経済圏の確立に向けた議論は日本が主導しなければならない。閣僚会合に先立つ今月11日、ニュージーランドは米国を含む原型のTPPの締結を閣議決定。日本に続き2番目に国内手続きを終了した。米国抜きでもTPPを前進させたいとの意向を持つ。豪州も4月の日豪外相会談で岸田文雄外相がTPPを取り上げたところ、「前向きに議論していきたい」(ビショップ外相)と応じた。

 残り参加国のうち、経済規模の大きいカナダとメキシコの意向も重要だ。両国は米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を控える。同協定はすでに発効・運用しているだけに、より重要度が高い。

 NAFTA再交渉でTPPどころではなさそうだが、「そもそも米国、カナダ、メキシコはTPP交渉をNAFTAのアップデートと位置づけていた」(日本の交渉関係者)との声があり、同時並行で進められそうだ。

 仮に今回の会合において11月の大筋合意で一致できれば、次の焦点は発効の時期に移る。その際、世界貿易機関(WTO)の前身である「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」が、当初は“締約国の貿易総額の85%を占める国の受諾”との要件を満たさずに正式発効できず、一部の有志国が“暫定適用議定書”を結んで適用を始めた手法などが想定される。簡素な手続きで済む一方、参加国が減る可能性はある。

 ある交渉筋は「前に進んでいる姿勢を見せることに意義がある」と指摘。発効しなくても交渉が前進していること自体が、米国にTPP復帰へと翻意を促す圧力になるとみている。

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最終更新:5/20(土) 14:54

日刊工業新聞電子版