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『Owlboy』完成までの手探り、暗中模索を開発者が明かす 日本語版配信は5月24日から【A 5th of BitSummit】

5/21(日) 14:22配信

ファミ通.com

●日本語版もアップデートにて配信決定
 2017年5月20日、21日に京都勧業館 みやこめっせにてインディーゲームの一大祭典“A 5th of BitSummit”が開催。21日のメインステージには、D-Pad Studiosの共同創設者Jo-Remi Madsen氏が登壇し、苦節9年の開発期間を経て発売された『Owlboy』についてセッションを行った。ここでは、その内容をお伝えする。

 丁寧に丁寧に作り上げられた、美しくもどこか寂しいようなドット絵が目を引く本作。プレイヤーは、声を失ったフクロウの主人公オータスをあやつり、スカイパイレーツに襲われた町を取り戻すため、仲間ともにモンスターの待つ古代遺跡の秘密を解き明かす冒険の旅に出る。本作は、先に触れた通り約9年という長い期間をかけて作られた一作だ。ではなぜ9年もかかってしまったのか? それについて今回は30分という短い時間ではあったが、D-Pad Studioの創設者、Jo-Remi Madsen氏(以下、マドセン氏)と、アートディレクター・Simon Stafsnes Andersen氏(以下、アンダーセン氏)が語ってくれた。

 ノルウェーのベルゲンで活動するD-Pad Studioは、現在6人が在籍する小さなスタジオ。プログラマーのマドセン氏と、アートディレクター・アンダーセン氏、そのほかプログラマーがもう2名、レベルデザイン担当とマーチャンダイズ担当で構成されている。

 2007年に開発がスタートした本作は、『パルテナの鏡』や『Wonder Boy』、『スーパーマリオブラザーズ3』から影響を受けているという。(ちなみに『Wonder Boy』はタイトル名にも影響を与えている)これらゲームの共通点は「飛ぶ(ジャンプ)」ことが多く、本作で主人公のオータスが空を飛び、羽根で叩く近接攻撃をくり出せるのは、この3作品が大きく影響しているからだろう。
 しかし初期のころは、主人公オータスはフクロウ族ではなかったそうで、虫や飛ぶ犬といったさまざまな案が出てくるが、どれもしっくりとこず悩む日々が続く。そんな中、アンダーセン氏の奥さんが「フクロウってどう?」と何気ない一言をくれたことから、現在のキャラクター像に行き着いたそうだ。

 続いて、2009年当時の開発状況を振り返る。このとき、まだノルウェーではインディーゲームシーンは現在ほど盛り上がっておらず、利益もだせないので、単なる趣味にすぎないだろうと思っていたそうだ。しかし、『Owlboy』のアートをお披露目すると、リリース前ながらも多くのメディアの目にとまり注目を浴びることに。さらに映画研究所から助成金をもらうことになり、会社設立に至ったそうだ。
 2011年にはデモを作製し公開すると、たくさんのポジティブなコメントをもらうが、それ以外にも問題点は多かったため、2011年の発売は断念。「この時点で、もっとプレイヤーからの意見をもらう必要があった。私たちには商業でゲームを作ったこともないし、ノウハウも持ってなかったので、本当に大変だった」と当時の苦労を振り返った。

 さらに、『Owlboy』の開発資金も必要だし、一度『Owlboy』から離れて休憩も取りたい……。そのため、Savantというコンポーザーが手がけたアルバムの世界観をゲームにした『Savant: Ascent』(※Steamページはこちら)の開発を担当し、無事資金とよい息抜きを得られたと述べた。
 しかし、『Owlboy』にはまだまだ問題が。すでに開発から5~6年が経ち、目標を失いつつあったのだ。今回のセッションでは時間の都合上語られなかったが、チームメンバーは体力的にも精神的にもギリギリの状態で、マドセン氏とアンダーセン氏は、「何とかまとめないと」というプレッシャーを感じていたという。心身ともに健康ではなく、さらに私生活でも不幸な出来事が続くという、苦しい状況に陥ってしまったそうだ。(※詳しくはこちら )

 ではこの状況の中、ゲームをどうやって昇華していったのかというと、完成させていたマップの一部を削って絞り(シャイプアップ)、ストーリーに不必要であるキャラクターやボス・ダンジョンを不採用にしたという。ほとんどが完成状態でかつ結構な量をカットすることになったが、ストーリーを目立たせるためにあえて不採用にしたというから驚いてしまう。しかし、この判断のおかげでよりよいゲーム体験を提供でき、開発もスムーズに行えるよに。2016年にはPAXで再び発表まで漕ぎ着けたと述べた。
 ここで、「リリースもされ、待ち望んでいたファンはとても喜んでくれたが、まだ終わりではない」とマドセン氏。ここ最近は休みの代わりに、プロモーショントリップとしてアメリカなどさまざまな国で宣伝活動を行ってきたとのこと。このBitsummitが終点だそうで、「いよいよ終わらせることができます」と語ると、日本語版のゲームプレイ映像をお披露目。PC版の日本語化アップデートが5月24日より配信されることが発表され、会場からは拍手が沸き起こった。
 現在BitSummit会場に日本語版がプレイアブル出展されているので、来場者はぜひ遊んでみてほしい。

最終更新:5/21(日) 14:22
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