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比嘉 世界王者に 師弟、涙の抱擁 「わんもカンムリワシないん」会長の名ぜりふ 口に

5/21(日) 9:49配信

琉球新報

 沖縄のボクシングの歴史に新たな1ページが刻まれた-。20日のWBC世界フライ級タイトルマッチで比嘉大吾選手(21)がフアン・エルナンデス選手(30)を下し、世界王者に輝いた。元世界王者の具志堅用高会長のまな弟子として日本人初の全戦全KO勝ちで王座を勝ち取った快挙に、会場に駆け付けた沖縄の応援団は喜びを爆発させた。“カンムリワシ”の意思を受け継ぐ“沖縄旋風”が再び巻き起こり、県内外で歓喜に沸く一夜となった。

 「わんもカンムリワシないん(僕もカンムリワシになりたい)」。正規では25年ぶりに県出身世界王者の座を奪取した比嘉大吾選手(21)は目を潤ませ、試合後のキャンバスで「勝ったら言おうと決めていた」という師匠の名ぜりふを口にした。隣で涙ぐむ具志堅用高会長(61)が1976年に沖縄初の世界チャンピオンになった時の言葉だ。当時は日本復帰から4年、復興の途中で混乱する沖縄を具志堅会長の頂点が照らした。あれから41年、まな弟子の比嘉選手が時を超え、県民に大きな喜びと勇気をもたらした。2人で肩を抱き、互いにうれし涙で「ありがとう」と交わした。

 自身の王座初就任と同年齢、比嘉選手の21歳での戴冠に具志堅会長は「たいしたものだ。沖縄にボクシングが帰ってきたと思う」と偉業をたたえ、“ボクシング王国”復活に期待を寄せる。「宮古島は今頃揺れてると思うよ」といつもの冗談も欠かさなかった。

 試合前「沖縄のために」とことあるごとに語った比嘉選手。限界を超えたハードな練習と減量、そして「ものすごいプレッシャー」(野木丈司トレーナー)だったという沖縄の期待を一身に背負ったことから、10日前に呼吸異常が起き「死を覚悟する」ほどまでの症状に陥った。試合前日には、対戦相手の王者フアン・エルナンデス選手が制限体重超過と計量放棄で王座を剥奪されるアクシデントも経て迎えた、決戦の夜だった。「彼は素晴らしいボクサーだ」(具志堅会長)

 勝利のキャンバスでインタビューを受けながら「もう最高ですね」と喜んだ比嘉選手。律義な彼らしく、マッチメークをしてくれた白井・具志堅スポーツジムや沖縄の応援団に感謝を繰り返し「支えられてここまで来ることができた」としみじみ語る。同時に口元を触り「歯を支えてる“あれ”が試合中に取れてびっくりしました」。昨日大福を食べていて外れてしまった虫歯の詰め物が、応急処置かなわず序盤に取れる“アクシデント”に見舞われたといい、隣の具志堅会長もにやりと歯を見せた。

 沖縄から正規王者では25年ぶり、正規と暫定を合わせて9人目の世界チャンプとなり「有名なチャンピオンがたくさん沖縄から出ているが、自分もそこに名前を残せて幸せだ」。世界の殿堂入りも果たした大先輩の具志堅会長の背を、まだまだ追い続ける。

琉球新報社

最終更新:5/21(日) 9:49
琉球新報

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