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二木幸生氏と北尾雄一郎氏がゲームシステム作りを語る 秘訣は実況動画を想像すること!?【A 5th of BitSummit】

5/21(日) 21:02配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:編集部 古屋陽一

●実力派ディレクターふたりがゲームシステムの作りかたを指南
 2017年5月20日、21日に京都勧業館 みやこめっせにてインディーゲームの一大祭典“A 5th of BitSummit”が開催。会期2日目の5月21日に、グランディングの二木幸生氏によるセッションが行われるはずだったのだが、ステージ上に姿を見せたのは、二木氏とジェムドロップ 代表取締役 北尾雄一郎氏。登壇するなり二木氏は、「“ゲームシステムのアイデアを出す方法”をテーマに話せと言われたのですが、毎回参加しているBitSummitで感じることに、 “クリエイターの交流”がひとつの側面としてあると思うので、昨晩飲んでいた北尾さんに“出てよ!”とお願いしたんです」とコメント。まさにインディーらしいノリで、北尾さんの飛び入り参加となったようだ。

 トークの入り口になったのは、“ゲームシステムを考えるのにどう作るのか?”。二木氏は、「ゲームシステムを作っても、おもしろいかどうかは人による」とした上で、「体験から考える」とコメント。たとえば、『ストリートファイターII』だったら、“友だちと対戦する”という楽しみがある。その楽しさは不変で、むしろシステムから考えるとひとりよがりになるというのだ。そこがスタート地点だという。一方、「ゲームデザインを手掛けるようになってから日が浅い」という北尾氏は、昔はシステム重視だったとのこと。いま気にかけているのは、駆け引きのメカニズム。AとBのルートがあった場合、プレイヤーにいかに選択してもらうかだ。それに対して二木氏は選択によってもたらされる結果は、「実力7割、運3割ですよね」と返答。実力10割だったら、強い人には勝てないわけで、「ゲームには運が必要」だという。それに対しては北尾氏も「ゲームは場が荒れないといけない」と独特の表現で賛同を示し、「(ゲーム作りでは)場が荒れる環境を選びます」と、自身のポリシーを披瀝した。

 さらに北尾氏は、自身のゲーム作りのスタイルとして、ゲームシステムありきではなくて、“アーティスティックなものを作りたい”、“こういうアートをやりたい”という思いが先にあって、システムを構築するケースもあるのだという。A 5th of BitSummitにも出展していた『ヘディング工場』では、自身はヘディングをしても顔面にあたってしまうくらいの運動音痴だが、「VRなら痛くない」という発想から始まったのだという。

 引き続き二木氏が、“ゲーム作りで気をつけること”として挙げたのが、“ゲームを始めるときに覚えないといけないことを多くしない”こと。ただし二木氏は、覚えることをある程度許容したいという気持ちもあって、そこは「線引きで悩みます」と須直に心情を吐露。それに対して北尾氏は、「操作が複雑なのもメリットがあって、人に操作を教えながら遊ぶのも、コミュニケーションが生まれるという効果がありますよね」と返していた。そんな北尾氏の意見に、二木氏も「どういう体験をさせるかが前提になってくると思います。ひとりで遊ぶか、ふたりで遊ぶかでも違ってきますし、遊んでいる人の顔をイメージすることが大切です」と語った。

 ゲームデザインの別のアプローチとしてあるのが足し算で、二木氏のよく取る手法として、「何か新しいことをふたつ足してみる」というやりかたがあるのだという。北尾氏も「新しいものを作りたいが、いまの時代完全なる新規というのは難しい。“これとこれを賭けたらこうなる”と考えるのは楽しいですね」と、足し算の手法を推奨していた。

 トークでは、その“足し算”という言葉をキーワードにゲームプレイの加点と減点の話題に。加点はいいことをすると褒めるスタイルで、減点は失敗をするとペナルティーを与えるスタイルだ。北尾氏も二木氏も断固加点のほうが好きなようで、「減点されるとストレスを感じます」とのこと。一方で、そもそもゲームはストレスを与えて解放するのが気持ちいいという一面がある。ストレスのかけかたもいろいろあるが、貯めているあいだは攻撃できないが、解放すると攻撃力が数倍になるという“貯め攻撃”などはその一例だ。その点で、「どこまでストレスを与えて解放させるかのバランスは考えますね」(二木氏)と名うてのクリエイターにしても、“ストレスと解放”のさじ加減は悩みどころのようだ。

 さて、ゲームシステムを組んでいくと、それを実証したくなるのがクリエイターの性というもの。この“実証”にあたって、二木氏は検証するための方法があるという。それは、実況動画を想像することなのだという。「自分が作っているゲームが、YouTubeに上がったときに、どうなるかを想像します」と二木氏。それで「盛り上がらなかったら穴があるなと思うし、盛り上がらなかったら“いける!”と思います」というのだ。なんともユニークな検証方法! ちなみに、BitSummitのような場でも、盛り上がるかどうかがひとつの試金石になるという。

 と、トークがここまで進んだところでタイムオーバー。用意されていた時間は20分で、ふたりのゲーム作りの秘訣をじっくりと聞くには、あまりにも時間が短かったが、ゲーム作りを巡るふたりやり取りはとても楽しく、飛び入り参加の意義は大きかったと言えるだろう。また来年、この続きを見てみたいものだ。

最終更新:5/21(日) 21:02
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