ここから本文です

斉昭の実像探る 弘道館でシンポ、開明派イメージも

5/21(日) 10:00配信

茨城新聞クロスアイ

水戸藩の藩校「弘道館」の本開館160周年を記念したシンポジウム「弘道館と創設者徳川斉昭」が14日、水戸市三の丸1丁目の弘道館であり、講演やパネルディスカッションで斉昭の実像を探った。尊王攘夷(じょうい)を訴えた一方で、西洋科学を重視した姿を浮き彫りにした。

大石学東京学芸大教授は、大河ドラマの「篤姫」を例に「斉昭が尊攘派のイメージで固定されている」と前置きした。徳川慶喜に仕えた渋沢栄一の書物には「斉昭は全国に先駆け藩政改革を行い革新の機運を促進した。弘道館で蘭学を教え軍備も西洋化した」と記されており、開明派名君のイメージもあると指摘した。「斉昭は開国はやむを得ないと思っていたが、戦う覚悟を持って対等な立場で協議すべきと願っていた。尊攘は役割として演じていた」と史料を基に説明した。

鈴木暎一茨城大名誉教授は、藩主斉昭と重臣藤田東湖の人間関係について解説。東湖ら改革派が斉昭の藩主擁立に動いた事実を紹介。派閥抗争が絶えない水戸藩で「東湖は職務放棄し辞職を申し出たが、斉昭は認めず復帰するよう懇願した」という逸話を明らかにした。

「震災復旧から日本遺産認定、そして世界遺産を目指して」と題した討論で、関口慶久水戸市埋蔵文化財センター長は世界遺産について、「暫定リスト入りに向けて活動しているものは27件ある。弘道館を含む『近世日本の教育遺産群』はトップから3本の指に入っている自信がある」と述べた。「結果だけでなく、このようなシンポを開くなどプロセスが大切だ」と締めくくった。 (清水英彦)

茨城新聞社