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英語を学ぶならロボットもいいね――カシオの「Lesson Pod」入門

5/21(日) 15:30配信

ITmedia LifeStyle

 今回はカシオ計算機から発売された「Lesson Pod」(以下:レッスンポッド)に体当たりしてみよう。英語を1から学びたい、あるいは一度身につけた英語力をキープしたいという方に、お風呂でも使える防水仕様やスマホアプリと連携するレッスンポッドがどれぐらい役に立ってくれるのだろうか。

iOS/Android対応のスマホアプリ「Lesson Pod+」で学習の進み具合をチェック

 レッスンポッドは、カシオ計算機が開発した“デジタル英会話学習機”である。カシオは英語などさまざまな言語に対応する電子辞書「EX-word」シリーズのラインアップを多数そろえるトップブランドとしても有名だ。筆者も一時期は英語の学習用にカシオの電子辞書を愛用していた。最近ではスマホと連携して学習の進捗状況や英単語の検索履歴を確認できる機能を搭載した学生向けモデルも好評と聞く。

●音声認識やアプリによるコミュニケーションに対応

 レッスンポッドは英語学習に機能を特化させたコミュニケーション機能を備えている。たまご型の本体は縦横が86mm、高さが111mmと、少し大きめのマグカップぐらいのサイズ。質量は約310gとスマホよりもちょっと重め。バッテリー内蔵で、専用の充電台でチャージする。

 目の位置と頭のてっぺんには5色に光るLEDを搭載した。背中には電源と音量、Wi-Fiのスイッチがある。頭のところにはタッチセンサー、本体の正面にはユーザーの発声をピックアップするためのマイクと、人が近づいた時に話しかけてくる機能を実現するための人感センサーがある。

 スマホやタブレットをお持ちなら、ぜひiOS/Android対応のアプリ「Lesson Pod+」が使える環境も整えたい。レッスンポッドの学習メニューを声による操作だけでなく、アプリに表示されるリストを見ながら学びたいレッスンの項目が手軽に選択できるようになるからだ。

 本体設定は音声による操作、またはスマホアプリからでも行える。ただ設定すべき内容はごく基本的なもので、日付や時刻、話すスピードなど。一点、「性別」を男女で設定しておくとユーザーの発声を認識する精度が少し高くなるので要チェックだ。

 Wi-Fiの設定は「Lesson Pod+」アプリのナビゲーションに従って簡単にできた。Wi-Fiルーターがあればクライアントモードによる接続がおすすめだが、もしWi-Fi環境がなくてもスマホをレッスンポッドに直接接続するAPモードが使える。

●本格的な英語レッスンのテキストが付いてくる

 レッスンポッドには日常会話を中心とした約100件の「反復レッスン」のほか、約150件の「発音レッスン」、約140件の「文法レッスン」と、約200回分の「実用会話ライブラリー」が基本メニューとして収録されている。反復レッスン以外のメニューには予習、復習に便利なテキストが1冊ずつ付属している。

 このほかにもテキスト不要でゲーム感覚で学べる「英語クイズ」と「発音聴き分けゲーム」もある。それぞれコンテンツの製作、編集、音声操作への最適化は三修社、プロンテストなどエキスパートがパートナーとして製作に力を貸している。またテキストは朝日出版社、アルク、旺文社などの出版社と協力しながら定期的に追加が予定されているそうだ。

 「文法レッスン」のテキストは例えば「S+V+O」的な英語の基本的な文型を学ぶところから、関係代名詞の使い方、仮定法過去完了など「初級~中級」レベルの内容をまんべんなく押さえている。「実用会話ライブラリー」には日常生活や旅行で使えるひと言会話が中心に収録されており、ビジネス会話に踏み込む一歩手前までという印象。「発音レッスン」は英語がちょっとできるという方にも、日常的に英語力をブラッシュアップするのに最適だ。

 文法レッスンのテキストには、例文に登場する英単語の意味などがカコミで解説されているものの、全体には中学校・高校レベルの英語には触れたことのある方以上を対象としたレベルであるように感じた。レッスンポッドのナビゲーションは大半が日本語だが、レッスンを始めると相づちは「Say that again?」「Pardon me?」といった具合に英語でも返してくる。

 レッスンポッドが話す単語やフレーズ、ナビゲーションの文章はすべて録音したものになるので、発声は自然で聴き取りやすい。AI(人工知能)は搭載されていないので、ユーザーの名前を覚えたり、学習履歴に応じてアドバイスをくれたりという機能はない。シンプルに一定のペースでレッスンポッドが話しかけてくるスタイルだ。外国語の会話や発音の学習は自然な発声を参照しないと話にならないので正しい選択だ。

●音声認識エンジンのデキは? キッチンなどで使ってみた

 学習を始める時はいつも「レッスンポッド」と呼びかけてから、「はんぷく」「はつおん」など、LEDが緑色に点灯したタイミングで学びたいコースを選ぶ。手始めに「発音レッスン」にチャレンジした。

 最初にその回のレッスン内容について、レッスンポッドから日本語で短い解説がある。テキストに書かれている単語が読みあげられたあとには、その回のテーマである発音のコツが書かれた文章を黙読するように促される。準備が整ったら、今回の課題となる単語を、発音を意識しながら声を出して読み上げていく。音声認識のエンジンはプロンテストが開発に協力したものを搭載しているのだが、筆者の発音が悪いのか、あるいはエンジンがシビアなのか。1つずつ読み上げていく英単語の発音に、レッスンポッドがなかなかOKを出してくれない。「Not so good, try again!」「Keep working on it untll next time!」と、何度も読み直しながらも、時折「Excellent!」と認めてもくれるので、やはり努力あるのみなのだろう。

 発音レッスンについては厳しく判定して然るべきだと思うが、一方でレッスンポッドの操作を「Yes」、「Next」と話しかけて行う場面でも判定がかなり厳しめなので操作が先に進まなくなってしまうことがあった。レッスンポッドの頭をタッチして「Yes」の代わりとする操作方法もあるのだが、メニュー選択の音声認識は敷居を低くしてもらわないとスムーズな操作感が得られない。とりあえずスマホアプリで操作することもできるのだが、コミュニケーションデバイスとして音声認識による操作感はファーム更新などで磨きをかけていってほしいと思う。

 レッスンポッドの本体に内蔵するバッテリーはフル充電の後、1回10分のレッスンなら15回分、約2時間半は連続で動かせる容量を備えている。防水仕様はIPX5/IPX7相当なので、キッチンで水仕事をしながら、あるいはバスルームの中に持ち込んで使ってもいい。アプリを入れてテストしたiPhone 7も防水仕様なので、風呂場での英語学習がリビングと変わらない感覚で楽しめた。

 問題はキッチンだ。料理を作ったり、皿洗いをしているとユーザーの声が聴き取りにくくなる音が周りに発生するので、レッスンポッドが声を聴き取れなくなってしまう。音声認識の精度を確保するため、本体マイクから離して置ける距離は推奨30~50cmまでだが、キッチンに置く場合は手を動かす範囲との距離感のアレンジがポイントになる。また、冊子のページをめくらずに「ながら学習」ができるメニューは「反復レッスン」と「英語クイズ」「発音聴き分けゲーム」に限られてしまう。例えばレッスンポッドの本体前面に液晶ディスプレイがあって、発音する単語などを表示してくれたらテキストフリーで学べる機会が広がりそうだと思う。

●英語力を磨きたい人にもおすすめ

 スマホアプリには学習履歴・到達度を“%”で表示したり、検定メニューの総合スコアも一覧にして並べられるので、続ける意欲もわいてくる。敢えて欲張るなら、レッスンポッドを持ち歩けない通勤時間など外出先ではアプリだけでレッスンを進めることもできたらうれしい。

 レッスンポッド1台に対して家族が何人でも同時に使えるのだが、アプリに表示される学習の達成履歴もミックスされてしまう。レッスンポッドが1対1の対話形式に最適化したシンプルな学習スタイルを採っているため、本体に1件の学習履歴しかメモリーできないからだ。数人のユーザーを個別に登録して、メモリーにそれぞれメンバーの学習履歴を分けて持てれば、語学力の違う大人と子供も一緒にレッスンポッドを活用できそうだ。

 レッスンポッドは電源を入れてスタンバイ状態にしておくと、日時を教えてくれたり、簡単なあいさつにも答えてくれる。人感センサーが人を検知すると、帰宅した時に「Welcome back!」と呼びかけてくれたりもする。現在のシンプルなデザインも悪くないのだが、本体のフロント側にディスプレイがあって、時刻や日時を常時表示してくれたり、メッセージを声と一緒にテキストでも語りかけてくれると便利だし可愛さも増してきそうだ。

 レッスンポッドは学習のペースをぐいぐいリードしてくれるので、ナビゲーターとして優秀だと思う。それぞれテキストの出来映えもよく、英語を1から学びたい、あるいは身につけた英語をブラッシュアップしたいと考える方は、続けて使うと効果が感じられそうだ。ただし、音声認識のエンジンなどインタフェースの調整はもう少し詰めた方が良さそうだ。例えば、あるメニューを選択した後で「前に戻る」操作をしたい場合に、タッチセンサーを長押しして会話やコンテンツを途中で終了しなければならない。音声操作に加えて、タッチセンサーの複数タップやスワイプなどの操作も加えることができればより使いやすくなると思う。

 外国語に限らず、教育や学びをサポートするスマートロボットの役割はこれからますます大事になってくるにちがいない。レッスンポッドは操作性にまだ少し改善して欲しいところはあったものの、これほどの技術を可愛らしいコンパクトな本体にまとめ上げたカシオの底力を感じさせる製品だった。これからシリーズがどんなふうに成長していくのか楽しみだ。

最終更新:5/22(月) 14:55
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