ここから本文です

改めて考えたいスマホゲームの仕組みと中毒性  モバプリの知っ得![6]

5/21(日) 12:30配信

琉球新報

スマホの普及とともに進化するゲーム
 iPhoneの登場から丸10年を迎える2017年、スマートフォンはパソコン・ゲーム機に匹敵する性能となりました。

 スマートフォンが広く普及した今、ゲーム会社は専用ゲーム機からスマホ向けゲームに開発をシフトしつつあります。

 家庭用ゲーム機であれば、どんなゲームをプレイしているのかテレビを見れば一目瞭然です。一方、スマホゲームは一人一人が小さい画面でプレイしているため、周りからはどのようにゲームをしているのか分かりにくくなっています。
 

依存性を高めるソーシャルゲームの6つのステップ
 スマホゲームと一口に言っても数万のゲームがありますが、今回は「ソーシャルゲーム」と呼ばれる流行りのゲームジャンルを紹介します。

 ソーシャルゲームは、他のプレイヤーと全国規模のランキング(順位づけ)で競うことができます。アドベンチャーゲーム、パズルゲーム、スポーツゲームなどジャンルは多岐にわたりますが、ゲームを取り巻く仕組みはほとんど同じです。

 「追加課金型」「ガチャシステム」などのシステムが有名で、プレイヤーがゲームにハマり、依存しやすい仕組みになっています。では、ソーシャルゲームにハマりやすい仕組みを、ゲーム開始から順をおって紹介していきます。
 

ステップ1. ゲームのインストールは無料で、プレイへのハードルを下げる
 

 ソーシャルゲームは、最初のインストールが無料となっているものがほとんど。

 そのため気軽に始めることができます。お金がかからないので、子ども、中高生もすぐに始めることができますし、保護者も「無料だからいいか」と油断しがち。

 こうして、多くの人がソーシャルゲームを始めていきます。
 

ステップ2. チュートリアルとリセットマラソン
 

 ゲームを始めると、操作方法を説明するチュートリアルが始まります。

 このチュートリアルで、ユーザーはゲームの仕組みを理解することになるのですが、このチュートリアル終了後には、本来お金を出して買わないといけないようなレアアイテムがたくさんもらえます。

 そして、このアイテムを使って「ガチャを回す」と、レアキャラクターをゲットすることができます。しかし、ユーザーとしてはここで、お気に入りのキャラクターをゲットしたい。そのため、リセットマラソンを行う人が出てくるのです。

 リセットマラソンとは、お気に入りのキャラクターが出てくるまで「アプリの削除→アプリのダウンロード→チュートリアル(説明)→アイテムゲット(説明のおまけ)→ガチャ(アイテムを使ってレアキャラをゲット)」を繰り返すことです。

 このガチャガチャで人気のキャラクターが出てくる可能性は1%前後と非常に低いのですが、ユーザーはお気に入りのキャラがほしいために、多い人で数百回「リセマラ(リセットマラソン)」を繰り返す人もいます。

 そして、スマホゲーム会社としては、ユーザーが「リセマラ」を繰り返すことで、アプリのダウンロード回数が増えるため、人気アプリランキングの上位に入ることができ、そのランキングによって、さらに多くの人がゲームに興味を持って取り込まれる。

 ゲーム会社はリセマラを黙認することで、お金をかけずにアプリの宣伝を行うことに成功します。

 また、リセマラを繰り返してレアキャラクターをゲットしたユーザーは、苦労したためゲームをやめるのはもったいないと思うようになります。
 

ステップ3. 序盤ボーナスと最初の課金
 

 ゲームを開始してからは、ことあるごとに有力なアイテムがもらえます。

「初めて○○をやりました」と理由をつけ、どんどんとアイテムが増える仕組みです。ユーザーはこのアイテムを使い、ゲームを有利に進める。そうすることで、またアイテムがもらえる。

 これでゲームがサクサクと進む爽快感を味わうのですが、残念なことに長くは続きません。

 しばらくすると、途中でもらえるアイテムの量が明らかに減り、ゲームの進行スピードが鈍くなります。このタイミングでゲーム側から「本来は2000円分のアイテムを100円で売るよ」と提案がされます。

 お金を自由に使えるユーザーは安い金額と、割引のお得感もあり、ここで課金しがちです。
 逆にお金を払えない中・高生などは、課金をせずに、ゲームをコツコツと行いポイントをためることでアイテムを集めることになります。
 

ステップ4. 回復システム
 

 ソーシャルゲームは時間回復制のシステムになっています。

 好きな時間に好きなだけゲームできるのではなく、「プレイは30分に1回」「5回分までためておける」という具合に時間が定められているのです。

 (ちなみに1回のプレイ時間は5分程度で、実生活の隙間時間に入り込めるようになっています)

 一見、長時間ゲームができない、保護者にとって素晴らしい仕組みに見えるのですが、課金しないユーザーはコツコツとプレイしてポイントを貯める必要があるため「やれる時にやっておく」という心理に陥ります。

 その結果、授業中・バイト中・睡眠時など、ゲームをできない場合に備え、その前後でまとめて時間をかけてプレイすることになります。

 「好きな時間に好きなペース」ではなく、「やれるときは確実にやる」というスタンスになるため、少しでも空き時間ができると1日に何度もゲームをすることに。

 熱中すると「生活の合間にゲーム」から「ゲームの合間に生活」と主従関係が逆転します。
 

ステップ5. 連続ログインボーナス
 

 こうした基本的なシステムに加え、ユーザーを離脱させないために、ソーシャルゲームは様々な仕組みを導入しています。

 その1つが連続ログインボーナスです。

 ゲームを立ち上げる(ログインする)ことでアイテムをもらえますが、連続でログインする日数が増えると、プレゼントアイテムが豪華になります。

 1日、2日、連続ログインしてもらえるプレゼントは大したものではありません。

 しかし1ヶ月連続してもらえるプレゼントはかなりレア度が高いため、学生などお金を課金せずにゲームをしているユーザーはそれを狙うしかありません。

 万が一、保護者や学校にスマホを没収され連続ログインが途中で途切れると大変。

 スマホが1日でも使えないと、連続ログインがストップするため、どんな手を使ってでも、毎日ログインしてしまいます。
 

ステップ6. マラソンイベント
 

 さらに、ゲーム会社は大型連休などにあわせ、ゲーム内で期間限定のイベントを仕掛けます。連休期間内にポイントをためることでレアなアイテムをプレゼントします。ユーザーはレアアイテムを入手するために期間中ずっとゲームをし続ける必要があります。そのため「マラソンイベント」と呼ばれます。

 ユーザーは期間中、睡眠時間を徹底して削り、とにかくポイントをためます。連続ログインボーナスと違い、「この休み3日であれが手に入る!」と思うといつも以上に頑張ることができます。

 課金をしないユーザーは、連続ログインボーナスや、マラソンイベントでレアアイテムを入手する必要があるため、ゲーム側から指定されたペースでプレイし続けるよう仕向けられ、それに陥いることになります。

 

結論:ソーシャルゲームはお金か時間をつぎ込むシステム
 ほとんどのソーシャルゲームは、レアなアイテム・キャラクターを持っていないとランキングの上位に行けない仕組みです。

 そのレアアイテムを入手するためには、お金か時間(あるいは両方)をつぎ込む必要があります。そしてある程度まで進むと「ここまでお金・時間を費やしたのだから辞めずに続けよう」と惰性でゲームをプレイすることになります。

 自分の意思で、適度なペースで楽しめるのであれば問題ないのですが、一度のめり込むとやめにくい仕組みになっているのがソーシャルゲームの怖いところです。

 ゲーム運営側は、ユーザー全体のプレイ状況を全て解析し、システムを作っています。数十万、数百万人の行動様式を分析しているため、今後も一人の人間の意志でどうにかなるレベルではない、依存性の高いシステムがどんどん作られるでしょう。

 2016年2月に開催された「おきなわスマホルールづくりシンポジウム」にて一緒に登壇した冨名腰義裕氏(海邦病院小児科部長・県医師会)は「ギャンブル、アルコール、ドラッグなど依存性の高いものは法律でかなり規制されている。それに対して、現状のゲームはこういったものがない」とおっしゃっていましたがその通りだと思います。

関連記事:スマホのルール作りを 沖縄市でシンポジウム - 琉球新報

 学校や家庭でスマホの利用にルールを決めても「ゲーム依存」の状態までいくと、ルールを守れるわけがありません。本人も辞めたくても辞められなくて辛い、それが依存症だからです。

 気軽に始めることができ、とことんハマる可能性のあるソーシャルゲームの仕組みを保護者・ユーザー双方で理解し、一緒に考えながら使うことが、最大の依存抑止です。

 ソーシャルゲームが定着した今だからこそ、改めて仕組みを考えたいものです。
 


 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」5月21日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

 


「モバイルプリンスの知っとくto得トーク」はこちら

 

琉球新報社

最終更新:5/21(日) 14:44
琉球新報