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船舶向けバラスト水処理装置、住友電工と日立造船が撤退

5/21(日) 8:00配信

日刊工業新聞電子版

条約発効遅れが原因

 住友電気工業と日立造船は、船舶向けバラスト水処理装置事業から撤退した。両社は製品開発や営業活動で協力していたが、2016年に共同出資会社を解散していた。17年9月に同装置の設置を義務付ける国際条約が発効し、装置需要が本格化する見通しだが、条約発効は当初想定より3―4年遅れている。この遅れが両社の撤退判断の一因。一方、三浦工業やパナソニックは発効を見据え、採用増を目指すなど対応が分かれている。

 「船舶バラスト水規制管理条約」は海洋生態系への悪影響を防ぐため外航船にバラスト水処理装置の設置を義務付ける国際条約。当初、13―14年にも発効し、装置と設置工事で数兆円の市場が生まれるとも期待された。

 住友電工は従来方式より高効率な紫外線方式による処理装置のほか、日立造船と共同で電気分解方式の装置も開発。業界後発となる両社は12年に共同出資会社「エコマリン技術研究組合」を設立し、製品開発や営業展開で協力していた。

 ただ、条約発効の遅れが装置需要拡大の足かせとなり、事業運営に影響を及ぼした。業界全体でみても、採算を度外視した営業活動につながった。

 住友電工は事業性や同社の他事業との相乗効果などを勘案した結果、撤退を決断した。日立造船は装置開発に必要な膜技術の課題が乗り越えられず、事業性が見込めなかったため撤退し「船舶用の排ガス処理装置に経営資源を集中する判断をした」(同社首脳)。

 バラスト水処理装置はJFEエンジニアリングや三井造船、栗田工業などが手がけている。住友電工などと同様に後発組のパナソニックは、17年度からフィルター不要の電解方式装置などの展開を本格化する。各社は省エネルギー・高効率の製品を開発して機会をうかがっていたが、需要拡大を待つ間の事業判断で明暗が分かれた。