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サノヤス造船がカーフェリー20年ぶり受注 建造技術や設計力向上へ船種を拡充

5/21(日) 9:41配信

山陽新聞デジタル

 造船中堅・サノヤス造船(大阪市)は約20年ぶりにカーフェリーを受注し、水島製造所(岡山県倉敷市児島塩生)で来秋から建造を始める。世界的な船余りで主力のばら積み貨物船が低迷する中、受注確保に向けて建造できる船のラインアップを拡充する。同製造所では昨夏、自走式のクレーン船を初めて建造しており、さまざまな船を手掛けることで設計力や建造技術を磨き、生き残りを目指す。

 受注したのは、自動車と乗客を運ぶ国内航路のフェリー。全長100メートル級で、旅客定員は450人規模、総トン数は2800トン程度を予定する。水島製造所で2018年秋に着工し、19年中の完成を目指す。

 サノヤス造船がカーフェリーを自社建造するのは、1990年に愛媛県新居浜市と神戸市間で就航した「ロイヤルにいはま」(3980総トン、旅客定員600人)以来となる。98年までは基本設計を自社で行い、建造を他の造船所に委託する形で受注を続けていたが、その後はばら積み貨物船が拡大。同型船を連続建造することでコスト削減を図る狙いもあり、フェリーは受注していなかった。

 造船業界では、世界的な供給過剰などを背景に、昨年から新造船の受注が激減している。中でもばら積み貨物船の落ち込みが大きく、サノヤス造船は既存設備で対応できるフェリーの受注再開を決めた。

 水島製造所では設計や資材調達、製造、営業など各部門から約10人を集めたプロジェクトチームを設置。客室の仕様や施工スケジュールなどの検討を進めている。

 同製造所は、サノヤス造船で唯一の建造拠点。昨夏には、洋上での土木建設工事や調査業務に用いる自走式クレーン船を建造したほか、今後は06年を最後に手掛けていないタンカーの再開も視野に入れている。同製造所は「新型の船に挑戦することで、設計力や技術力の向上につながる。従来のばら積み貨物船一辺倒ではなく、複数の船種をそろえて受注を伸ばしたい」とする。