ここから本文です

4週間も子ヒツジを育てることに成功した人工子宮、その仕組みは?

5/21(日) 20:10配信

ギズモード・ジャパン

保育器や人工呼吸器は未熟児の治療に役立つとはいえ、母親の子宮の心地良さにはまだおよびません。未熟児の死亡率と病気を劇的に減らすため、本物に迫る人工子宮が開発されました。米国フィラデルフィア小児病院のAlan Flake氏が率いる研究チームは、外部の人工子宮でヒツジの胎児の生命を維持し、正常な発育に求められる条件を再現することが可能であることを示したのです。

子ヒツジが液体で満たされた装置の中で成長し、4週間にわたって生命を維持できたのは画期的な新記録です。その後の検査でも、ヒツジの脳、肺、および臓器の正常な発達が見られました。この技術が早産児に適用されるにはさらに10年かかるとしても、この研究結果は大きな一歩です。研究の詳細は、英科学誌Nature Communicationsに発表されました。

米国では毎年、約3万人が妊娠26週以前(通常の妊娠は37週間)の早産児として産まれます。乳児の死亡数の3分の1と脳性麻痺と診断される乳児の数の半分の原因が早産なのです。多くの場合、体重600gにも満たない超低出生体重児が生き延びるチャンスは、およそ30~50%に過ぎません。生存したとしても約90%は、慢性肺疾患や臓器発達不良に起因する合併症などを患う可能性があります。しかし医療は着実に発展し、子宮外の生存能力の限界を妊娠22~23週間にまで押し広げています。

早産児や超低出生体重児のためにできる現在の最善の方法は、保育器の中で発達途中の身体機能をサポートすることです。 「従来のケアは、臓器機能、挿管、機械的呼吸やガス交換を基盤とする肺胞換気のサポートが必要です」と、研究の共著者Emily Partridge氏は昨年の記者会見で指摘しています。さらに 「通常、胎児の肺は子宮の液体に浸っているので、ガスを基盤とする肺胞換気は肺の発達を妨げ、生涯にわたる健康上の問題を引き起こすことになる」と述べています。これらの標準的な治療法は、早産児の肺や発達中の臓器の負担となるうえ、幼児を感染性病原体にさらすおそれがあります。

1/3ページ