ここから本文です

シカ被害やまず 県、新計画で捕獲継続 丹沢生息減も箱根増

5/21(日) 22:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 県はこのほど、第4次ニホンジカ管理計画(2017~21年度)を策定した。丹沢山地のシカ生息数は減少傾向にあるが、食害を受けた樹木や草地の植生回復は一部にとどまり、全体では森林への悪影響や農業被害の改善が見られない。箱根や小仏(相模原市緑区)の両山地に生息が拡大しており、引き続き捕獲に力を入れていく方針を示した。

 4次計画によると、繁殖力が高いシカの生息数は03年度からの取り組みで減少傾向に転じた。しかし、現状は管理捕獲の目的である植生回復に至っておらず、農林業被害が続いている。加えて、周辺の箱根や小仏の両山地で生息密度が近年上昇し、森林への悪影響が懸念されるとしている。

 丹沢中心部に広がる自然植生回復エリア(主に高標高域)では、管理捕獲を先行実施した東丹沢で林床植生の改善が見られる一方、西丹沢では劣化が進行。シカの生息、植生状況に応じた管理捕獲強化の必要性を示した。

 また、これまで保護管理区域周辺の分布拡大防止区域だった相模原市緑区の一部(旧藤野町、旧相模湖町など)、平塚市、小田原市、箱根町など12市町を「定着防止区域」に格上げした。地元自治体に加え、県が箱根、小仏の森林地域で管理捕獲を行って生息数の抑制を目指す。

 今回、計画更新に当たり注目された生息の適正水準については、推計法の向上で従来の基数設定をやめて、管理捕獲の効果を随時確認するモニタリング方式に変更。置き換わる最新の生息数を保護管理区域の3803頭を含めて全体で4709頭とした。

 3次計画(12~16年度)では個体調整の基数を生息推計の上限値、5500頭に設定して「初期に特に強い捕獲圧をかける」としたが、4次でも捕獲圧は「同レベル」とした。

 具体的な管理捕獲に当たっては毎年度、5カ年計画に基づき区域ごとの目標頭数を設定するスタイルを踏襲。4次計画の初年度となる17年度分は7月に公表される予定。

 県自然環境保全課は「丹沢でシカと共存していくための適正な生息数については模索が続いている。管理捕獲の実績と植生回復や被害の軽減状況を確認しながら適正水準を求めていく」と説明している。

 ◆シカの被害 県の集計によれば2015年度の農業被害は2633万円で、10年前の1416万円に比べて大幅に増加。ここ数年は横ばいだが、農家からの報告に基づいた集計なので、実態が十分に把握されていないとの指摘もある。全国的な被害の増加や深刻化を受け、14年5月の鳥獣保護法の改正で環境省は今後10年間でニホンジカ、イノシシを半減させる方針を示した。