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ライチョウ初産卵 ファミリーパーク 

5/21(日) 0:51配信

北日本新聞

■来月中旬にもふ化

 国の特別天然記念物で絶滅危惧種「ニホンライチョウ」の人工繁殖に取り組んでいる富山市ファミリーパーク(同市古沢)は20日、飼育中の雌が卵1個を産んだと発表した。環境省のライチョウ保護増殖事業の一環。今春から上野動物園(東京)、大町山岳博物館(長野)の3施設で繁殖をスタートし、初めての産卵となった。順調なら6月中旬にもふ化する見通し。

 ペアリングしたのは2016年6月に乗鞍岳(長野、岐阜)で卵を採取し飼育してきた雄と雌。17年4月8日に透明なアクリル板越しに見合いをさせ、26日から同居。5月13日から交尾が確認され、20日午後1時45分に巣に卵が1個あることを飼育技師が確認した。

 野生下の雌は1日おきに計6~7個の卵を産み、全て産み終えた後で温め始めることから同時期にひながふ化する。飼育下でも、産まれた卵は温度を11度程度に設定した箱の中で保管し、1週間後にその間に産んだ卵を一緒にふ卵器に入れる。今回の卵が有精卵で順調に成長すれば、6月中旬にひなが誕生する。

 上野動物園では5月19日から、大町山岳博物館では12日からペアの同居を始めている。今後、各施設で得られた有精卵の数が分かり次第、遺伝的多様性を確保しながら翌年以降も繁殖できるよう、他の施設と交換するかどうかなどを検討する。

 石原祐司ファミリーパーク園長は「まずはほっとした。上野、大町の3施設で協力し飼育してきた成果。今後もしっかりふ化して育て、人工繁殖を成功させたい」と話している。 


 ■生息地保全と両輪

環境省の保護増殖事業は、数が減っている地域の卵を採取し育てた鳥を野生復帰させる「生息域外保全」と、生息地での減少要因調査と捕食者対策などを行う「生息域内保全」の二つを柱とする。

 ファミリーパークなどで行う飼育は、域外保全に向けた飼育技術の確立が目的。安定して繁殖できるようになった後、数が急速に減り絶滅が心配される南アルプスの卵での繁殖が始まり、野生復帰訓練を経て放鳥する。国は将来の野生復帰を目標に計画をスタートしており、今回の産卵は貴重な一歩と言える。

 一方、南アルプスでは、ライチョウを脅かす新たな存在が明らかになってきた。ニホンジカだ。ライチョウの食べる植物を食べ尽くすことで生息地を奪っているという。ニホンジカは旺盛な繁殖力で数を増やし、ライチョウの生息数が安定しているとみられる立山でも昨年10月に確認された。絶滅を食い止めるには、域外保全、域内保全の両輪をスピード感を持って進めなければならない。 (報道センター部次長・村上文美)

北日本新聞社

最終更新:5/21(日) 9:15
北日本新聞