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社説[希少種レッドデータ]生息環境の改善が急務

5/21(日) 9:10配信

沖縄タイムス

 県自然保護課は、絶滅のおそれのある野生生物の現況をまとめた「レッドデータおきなわ」(第3版動物編)を公表した。

 2005年の第2版以来12年ぶりの改定である。絶滅または絶滅のおそれのある野生生物は991種で、第2版から154種増えた。

 第2版で、「絶滅危惧1B類」に分類されていたヤンバルクイナは、最も絶滅のおそれの高い「絶滅危惧1A類」にランク付けされた。

 「1A類」というのは、ごく近い将来、絶滅の危険性が極めて高い、状態のことである。その上には「野生絶滅」と「絶滅」しかない。

 本島北部のやんばる地域だけにすむ日本で唯一の飛べない鳥。1981年に新種として記載され、翌年、国の天然記念物に指定された希少種…。やんばるの地史と豊かな自然環境を象徴するヤンバルクイナに何が起きているのか。

 環境省は06年のレッドリストでヤンバルクイナを「絶滅危惧1A類」にランク付けした。環境省やんばる野生生物保護センターのホームページによると、生息個体数は13年以降、1500羽前後と推定されている。個体数が減っているわけではないようだ。

 12年ぶりの改定作業で県が重視したのは、生存環境の改善が思うように進まず、「生存に関わる脅威」が取り除かれていない、ことである。

 マングースやノネコ、野犬による捕食、交通事故、森林伐採などによる生息地の減少-いずれもヤンバルクイナの「大敵」だ。

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 新種を育んだやんばるの自然は、ヤンバルクイナにとって、すみにくい環境に変わりつつあるのかもしれない。

 環境省は、「野生絶滅」という最悪の場合に備え、飼育・繁殖施設を整備し、飼育下の繁殖を試みている。

 ヤンバルクイナの交通事故は、県道2号と70号で多発しているという。ヤンバルクイナの習性を知り、運転手が特別の注意を払うことによって、交通事故を減らすことは可能なはずだ。

 外来種のマングースの駆除、飼い犬の野犬化を防ぐための家庭での取り組みや野犬捕獲なども欠かせない。

 「レッドデータおきなわ」によると、ほ乳類ではイリオモテヤマネコ、ジュゴン、ケナガネズミなど、鳥類ではカンムリワシ、ノグチゲラ、は虫類ではキクザトサワヘビなどが「絶滅危惧1A類」になっている。

 「レッドデータおきなわ」は環境教育を充実させ、環境保全の価値を県民が共有していく重要性を教えてくれる。

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 国頭村、東村、大宜味村にまたがる亜熱帯照葉樹林は、野生生物の宝庫である。

 環境省は昨年9月、この地域をやんばる国立公園に指定した。今年2月には、奄美大島や徳之島、やんばる、西表島などの世界自然遺産登録に向けた推薦書をユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出した。

 自然遺産の隣に位置することになる米軍北部訓練場や辺野古への新基地建設は、世界遺産登録の「壁」になるのではないか。それが心配だ。

最終更新:5/23(火) 16:10
沖縄タイムス

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