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水戸短編映像祭、今年開催せず 「若手の登竜門」20年

5/22(月) 6:00配信

茨城新聞クロスアイ

映像表現の魅力を伝えるとともに、多くの映画監督を輩出してきた「水戸短編映像祭」が、今年から開催されないこととなった。インターネット動画サイトの普及に伴い自主映像を発表する場が多様化したことなどが要因で、主催団体は「時代の変化に合わせ、映像祭の形を見直したい」としている。若手の作家を発掘してきた伝統ある“登竜門”は、ひっそりと20年の歴史に幕を下ろした。

同映像祭は次世代を担う映画監督の発掘や育成を目指し、NPO法人シネマパンチ(平島悠三代表)と水戸市芸術振興財団の主催で、1996年に始まった。国内で開かれる短編映像祭の先駆けとして、水戸芸術館を舞台に毎年9月下旬ごろに3日間行われ、昨年は20回の節目を迎えていた。

短編作品を募る「コンペティション部門」と、旬の映像作家や作品を紹介する「招待上映部門」の2部門で構成。50分以内の映像作品を広く募り、審査で選ばれた作品を上映するコンペ部門は、若手映像作家の登竜門としての役割も担った。これまで「宇宙兄弟」の森義隆監督や「神様のカルテ」の深川栄洋監督など、多くの映画監督を輩出してきた。

しかし、近年は動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」など、手軽に短編映像に触れる機会が拡大。さらにスマートフォンの普及で、誰でも簡単に高技術の撮影や編集ができるようになり、「ここ数年で映像を巡る環境に劇的な変化が訪れた」(平島代表)ことから、開催の見直しが必要と判断した。

コンペ部門への応募作品数も減少傾向にあった。ピーク時には400作品を超えていた応募数は、昨年は192作品にとどまった。映像業界などにおける同映像祭の知名度は高い一方で、一般市民への浸透は進まず、開かれた映像祭とする必要性にも迫られていた。

今後は準備期間を経て、2年後をめどに新たな映像祭としてリニューアルする考えだ。平島代表は「時代が変わり、別の形にブラッシュアップする。歴史と伝統のある映像祭だったが、しっかり見直して現代にふさわしいものにする」と意気込む。

また、これまでコンペ部門で選ばれ上映された作品を管理し、ネット上で閲覧できるシステムの構築も目指す。同映像祭と同時に開催し、優れた映画作品やシンポジウムなどを行ってきた「水戸映画祭」は継続する予定だ。 (前島智仁)

茨城新聞社