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111億円の損失出したソロス氏、米国株の空売り拡大中

5/22(月) 18:10配信

ZUU online

トランプラリーで1億ドル(約111億2600万円)の損失を出したといわれている ジョージ・ソロス氏が、さらに米株空売りの勝負に出ていることが、米国証券取引委員会が3月末に公開した「Form 13F (投資家の買い持ちポジションを示したもの)」から判明した。

トランプ銘柄の個別株を維持する一方で、S&P500種を1億1000万ドルから3億ドルへ(約122億 3860万円から333億7800万円)、Russell2000を3億3000万ドルから4億6000万ドル(約367億1580万円から511億7960万円)へと増やしている 。

■Brexit、米大統領選と誤算の続くソロス氏

ソロス氏が1992年にポンドの空売りでポンド危機を引き起こした逸話は、あまりに有名だ。しかし「イングランド銀行を潰した男」の異名に、近年陰りが見え始めているとの疑念の声も上がり始めている。

昨年は英EU離脱投票の際、ドイツ銀行株の空売りのタイミングを読み間違った ために、9000万ユーロ(約 112億1901万円)もの利益を逃してた。しかいこの件は市場が残留を予想していたことから、「仕方のない」との見方が強かったようだ。

ところが半年と間を開けず、同じような誤算が生じることとなる。今度はトランプラリーの見込み違いだ。Brexit同様、ソロス氏は結果を読み間違い、対立候補であったヒラリー・クリントン氏の勝利を確信していた。それに加え、「トランプ氏が勝利すれば市場は大暴落する」という世間の予想を、そっくりそのまま鵜呑みにしていたものと思われる。

ヘッジファンドでも勝者と敗者が大きく分かれたこの勝負で、「ソロス氏が約111億2600万円の損失を出していた」とメディアに報じられたのは、今年に入ってからだ。

■米国株指数ETFから主要大型・小型を拡大

第4四半期のパフォーマンスが、300億ドル(約3兆3378億円)の資産を運用するソロス・ファンド・マネージャー の顧客にとっては、気が気でない結果となったのは言うまでもない。

しかしソロス氏は方向転換を図ることなく、米国株の空売りを継続。さらには拡大するという大きな賭けに出ている。最新の「Form 13F)」 によると、トランプ銘柄の個別株を維持する一方で、S&P500種を約122億 3860万円から333億7800万円へ、Russell2000を約367億1580万円から511億7960万円へと増やしている 。

米国株指数ETFの中で主要大型(S&P500種)と小型(Russell2000)を拡大したということは、ソロス氏は依然として米国株急落という自らの予想に、疑いを抱いていないということになる。果たしてソロス氏にとっての「三度目の正直」は、現実のものとなるのだろうか。

■レーガノミクスとは似て異なるトランポノミクス?

市場でトランプラリーの幕引きを予想する色合いが、徐々に増し始めているのは事実だ。米ゴールドマン・サックス、独アリアンツ、リソルツ・ウェルス・マネージメントなど、国際大手金融機関の専門家が、次々と警告を発している。

またフリン前大統領補佐官のFBI捜査問題が、ラリーの終焉を加速させているかのように、米株式市場が大きな反転を見せている。

ウォール街でトランプ政権への不信感が強まるほど、市場が決定的な変動を見せる可能性が高くなる。ソロス氏はその瞬間を待ち構えているのだろう。1987年、「レーガノミクス(レーガン大統領による自由主義経済政策)」の際にニューヨーク株式市場を襲った、「ブラックマンデー」が再来するのだろうか。

両米大統領の経済政策の類似点については、以前から指摘されている。しかし減税、インフラ拡大、福祉予算削減などの点は共通するが、その背景には決定的に異なる点も多い。例えば著しい金利差だ。ブラックマンデーが高金利、高インフレ時代に起こったのに対し、現在の米金利は0.5%と低金利を抜けきれず、インフレも1%前後にとどまっている。

またレーガン政権下では2桁に達する勢いだった失業率も、トランプ政権誕生時には半分にまで低下していた。トランプ政策の一環である保護主義や移民制限が、実際に世界経済にどのような影響を及ぼすかは、まだ未知の世界である。

いずれにせよソロス氏にとっては、名誉挽回を賭けた大きな挑戦となるはずだ。「ポンド危機」の勘が完全に鈍ってしまったか、偉大なる投資家としての地位を維持し続けるかは、時間が教えてくれるだろう。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:5/22(月) 18:10
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