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【長谷川穂積の拳心論】井上尚弥はボクシング界の二刀流・日本ハム大谷

5/22(月) 9:00配信

デイリースポーツ

 「ボクシング・WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(21日、有明コロシアム)

【写真】次元が違う…ロドリゲスの顔面にめり込む井上尚弥の左フック

 ダブル世界戦が行われ、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(24)=大橋=は同級2位リカルド・ロドリゲス(米国)に3回KO勝ちし、5度目の防衛に成功した。練習を始めて間もない左構えを見せるなど余裕の圧勝劇。9月に米国進出することを明かした。

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 「井上尚弥」というボクサーは、ボクシング界の枠を超えた存在になった。ボクシングを知らない人に「スゲーな」と思わせる。今までこんなボクサーはいなかったし、たぶん今後100年は出てこない。そんなスターと同じ時代に生きる者として一人でも多くの人に彼を見てほしい。そう思える試合だった。

 驚くようなセンスを象徴するのが、この日見せたスイッチだ。通常は空気を変えたり、目くらまし的に使ったりする。しかし、井上君の場合は左でも相手を圧倒しており、もはやスイッチとは呼べない。プロ野球の日本ハム・大谷選手のように今日は投手、今日は野手と使い分けられるレベルだ。これでさらに可能性が広がった。

 米国進出は彼にとってはスタートライン。その先のビッグマッチが本当の勝負になる。100年に一人のボクサーは、300年に一人のボクサーかもしれない。僕らが行かなかった場所へ、同じ時代に生きる日本人ボクサーが連れて行ってくれるのはうれしい。みんなの思いを背負って戦ってくれると思う。

 一方、八重樫君の敗戦は、体が温まる前にいいパンチをもらってしまう“交通事故”のようなものだった。よほど力の差がない限り、リングに上がれば可能性は50%、50%。この日は向こうに流れが行っていた。

 今後続けるかどうかは彼が家族と話し合って決めること。ただ、続けるならどこに目標を置くか、ゴールを決めて向かってほしい。1、2年休んでもいいし、焦ることはない。僕も一緒にご飯を食べながら、話をしてみたいと思っている。