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ブラジルの食肉加工業最大手JBSにインサイダー取引疑惑

5/22(月) 8:18配信

MEGABRASIL

グループ企業の金融機関もに調査

現在、連邦警察の汚職捜査の渦中にあるブラジル食肉業界最大手企業、JBSに対して証券取引委員会も動き出した。

グローボ系ニュースサイト「G1」が5月19日づけで伝えたところによると、18日から19日にかけてブラジル証券取引委員会(CVM)は、JBSが行った5つの市場取引に関して調査手続きを開始したという。

調査事由はドル先物取引と株式売買におけるインサイダー取引を含む不正取引。CVMは調査対象となる取引の内容を発表した。

報告によると、JBS本体が行った取引以外にも、同社のオーナー、バチスタ一族の資産運用をまとめて行っているFBホールディングス(FB Participações)とグループ内企業であるオリジナウ銀行(Banco Original)の間の取引もCVMの調査対象になっているとのことだ。

CVMのウェブサイトによると、5月12日から17日の間にJBSによって行われた別の取引2件についても調査を開始したという。この2件の詳細は公表されていない。

18日から19日にかけて開始された調査の概要は下記の通り。

1.JBSのオーナー兼経営陣の(連邦警察への)証言に関する情報の扱いとそれが市場取引に使われたかどうかの解明

2.ドル先物とJBS株式の売買について連邦公共省から追及を受けた際に提出した「結果的にインサイダー取引になってしまった」という報告との整合性確認

3.ドル先物市場でJBSが行った取引の実態調査

4.JBSのオーナーグループ企業、J&Fホールディングスが保有するオリジナウ銀行が行った取引の調査。商品・FX先物を含めたデリバティブ市場での取引調査

5.JBSのオーナー企業、FBホールディングスによるJBS株式取引調査

「このような取引の調査だけでなく、CVM内の経済・リスク管理調査委員会(ASA)は市場の主要指標と我々の管轄範囲で起こる諸活動が引き起こす市場への影響を監視し続けています。市場の動向に影響を受ける財産に対する金融資産のエクスポージャーなどもモニター範囲に含まれます」(CVM広報)

JBSはインサイダー取引に関する調査を受けている。連邦警察による贈収賄捜査「ラヴァ・ジャット(洗車)作戦」で、同社の経営陣は検察の司法取引に応じたが、そのニュースが公表される数時間前にドルを購入した疑いがもたれている。

翌日の為替相場は前日比8.15%のレアル安で、これは1日の動きとしては18年ぶりの変動幅だった。

19日午後にG1に入ってきた情報によると、JBSはドル買いの事実を認めたが、会社のリスク管理・財産保護ポリシーに基づいて行った取引、と主張している。

このドル買いはFX取引、商品取引のポジション管理など日々の個別業務の一環として行った取引で、為替・価格変動リスクを最小限に抑えるため、様々な金融商品・技術を使って取引を行った結果、ドル買いになったと説明している。

JBSはドル建で借入を行い、海外との取引から生じるドル建債権債務を有している。そのためドル相場の変動に影響を受けやすい状態にある。

JBSはプレスリリースで、ドル相場の変動による財務諸表へのインパクトについて次のように語っている。

「ドル相場の変動から生じえる影響として一例をあげますと、第1四半期の最終日3月31日から5月18日までの間、実際に1ドルが3.16レアルから3.4レアルに変動しましたが、(何も手立てをうたなければ)弊社はそれにより10億レアル(約360億円)以上の損失を被ることになります」(JBS広報)

同社のプレスリリースは下記の通り締めくくられている。

「重ねて申し上げますが、ここ数日の間に弊社が行った取引は、為替リスク回避・財産保全のための会社の管理ポリシーに基づいて行ったものです」(JBS広報)

超巨大企業のディーリングルームが、一般公表前に自社の役員が司法取引に応じたことを知るすべがあったかどうかがカギになりそうだが、なかったことを立証するのもきわめて難しいとみられる。

悪魔の証明という命題を含んだCVM調査はJBSの先にある何かを探り当てるための第一歩、というのは考えすぎだろうか。

(文/原田 侑)

最終更新:5/22(月) 8:18
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