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小児不整脈の根治目指す 運動制限ないカテーテルアブレーション治療

5/22(月) 10:42配信

山陽新聞デジタル

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)の小児科循環器グループは、小児不整脈の治療として、カテーテルを使って原因を取り除き、根治を目指す「カテーテルアブレーション」に取り組んでいる。国内では実施している小児科施設が少なく、中四国ではまだ同病院しかない。中心となって担当している栄徳隆裕助教(39)に、小児不整脈の特徴や治療の流れについて聞いた。

 ―小児不整脈は、どのような病気ですか。

 大人の不整脈は、加齢とともに心房筋が傷んで心房細動を発症するケースが多いのですが、子供の場合は生まれつき不整脈の要因があり、さまざまな年齢で発症します。心臓は、洞結節という部位が出す電気信号が正常な拍動をつかさどっています。不整脈は、電気信号が洞結節を無視して心臓内の間違ったルートをくるくると回ったり、洞結節ではない別の部位が電気信号を出したりすることで発症します。発作が起きれば、心臓の拍動が速くなる「頻脈」の状態になります。

 ―自覚症状はありますか。

 頻度として多いのは、突然胸がどきどきする動悸(どうき)の発作です。意識を失うこともあり、不整脈のタイプによっては、突然死する可能性もあります。ただ小学生未満の子供は症状を具体的に表現できず、「痛い」など別の言葉で言い表すこともあります。親や医師が気付かず、早めの診断に結びつかないケースも少なくありません。症状を放置すると心臓に負担がかかるので、なるべく早く治療することが必要です。

 ―カテーテルアブレーションはどのような治療法ですか。

 脚の付け根や首の血管から、3~5本のカテーテルを心臓まで挿入し、異常を引き起こしている心筋を30~50度で焼いて治療します。心臓内の電気信号の様子を可視化できる画像システムやCTを活用するので、原因部位を正確に特定して手術します。適用体重は6キロ以上なので、赤ちゃんのうちに治療することができます。

 ―この治療のメリットは。

 頻脈タイプの不整脈の治療は、薬物療法で発作を抑え、運動を制限するのが、これまでは一般的でした。カテーテルアブレーションは根治が可能なので、薬や運動制限が必要なくなり、子供たちにとって従来の生活を取り戻すことができます。

 ―岡山大病院の実績を教えてください。

 当院では2014年に治療を始めたばかりで、まだ件数は年間十数件と少ないですが、17年は5月までに既に12件実施しており、今後も増えそうです。手術は必ず、成人の心臓カテーテル治療を専門とする循環器内科の西井伸洋講師らと協力して行っています。麻酔科で小児の心臓手術に数多く携わる専門チームとも連携し、より安全な全身麻酔下で治療しています。

 ―今後の展望を教えてください。

 小児のカテーテルアブレーションが受けられるのは、西日本では大阪と福岡のみであり、当院が中四国の拠点を目指していく必要があります。小児の不整脈は、症状の出方も個人で大きく異なり、診断も難しい病気です。でも、子供たちを運動制限や突然死のリスクから解放するため、丁寧に症例を重ねていきたいですね。