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裁判員候補辞退6割超に 前橋地裁 死刑判決裁判は8割 制度開始8年

5/22(月) 6:01配信

上毛新聞

 裁判員裁判は制度開始から21日で8年を迎えた。前橋地裁ではこれまでに160人の被告(判決前を含む)が審理され、2016年7月には同地裁の裁判員裁判で初の死刑判決が言い渡された。裁判員の経験者は重責を感じつつ参加の意義を語る一方、12年以降は辞退率が毎年6割超となるなど、敬遠されがちな現実も垣間見える。

開廷回数増え、審理期間延びる

 「人の人生を決める。被告の身の上まで聞いて量刑を決めるのは、本当に難しかった」。15年に強盗致傷事件の裁判員を経験した男性(44)=前橋市=は振り返る。公判では被告が起訴内容を否認、共犯者と証言が食い違うこともあり、「被告の言葉をどこまで信じていいか迷った」という。

 量刑などを決める話し合いでは、裁判官が専門用語を丁寧に説明してくれたといい、問題なく理解できた。検察側の求刑懲役8年に対し、判決は懲役7年。男性は6日間の審理を経験し、「社会の役に立てたと思える。機会があればまた参加したい」と話した。

 同地裁によると、17年3月末までに148人の被告に判決が言い渡され、12人は係争中だという。

 一方、裁判員を引き受けることに不安を感じる人は少なくない。前橋地裁で裁判員候補者が辞退した割合は、制度が始まった09年は48.8%だったが、その後上昇し、近年は14年63.0%、15年62.1%、16年(3月末まで)61.3%。死刑判決が下された裁判では79.5%に達した。

 最高裁の意識調査では、毎年8割近くが「判決で被告の運命が決まり、重い責任を感じる」と答え、次いで「素人が正しく行えるか不安」とする。仕事や介護を理由に消極的に受け止める人もいる。制度開始当初に3.7日だった平均審理期間は、17年3月末時点で10.2日に延び、開廷回数も平均で3.3回から4.9回となった。

 負担を減らすため証拠を絞り込み、審理時間を短縮する余地はまだあるとの見方もある。群馬弁護士会刑事弁護センター運営委員長の中田太郎弁護士(39)は「負担減に配慮するあまり拙速な審理になってはならない。いかにバランスを取るか、法曹三者で努力する必要がある」と指摘する。

 前橋地検幹部は、慣れない状況にいる裁判員が集中力を持てない場面でも、分かりやすく立証することが重要だと受け止める。「適正な量刑にするには被害者の気持ちをきちんと伝えることが大切で、(検察側も)より一層勉強していく必要がある」とした。

 【裁判員裁判】無作為にくじで選ばれた20歳以上の人が、裁判官と一緒に殺人など重大事件の刑事裁判を審理する。審理は原則、裁判官3人と裁判員6人で行われ、有罪・無罪を決め、量刑も判断する。市民感覚を反映させることで、司法を身近にし、さらなる信頼性の向上を目指して導入された。

上毛新聞社

最終更新:5/22(月) 6:01
上毛新聞